東西で味が違う『日清のどん兵衛』 具体的に何が違うの?

突然ですが、即席カップ麺の『日清のどん兵衛』は、東日本と西日本で味が分かれていることを知っていますか。

なぜ東日本と西日本で味を分けることになり、具体的にどのような違いがあるのか、気になりますよね。

日清食品株式会社(以下、日清)に聞いてみました。

『日清のどん兵衛』の味が東日本と西日本で違うワケ

――『日清のどん兵衛』が、東日本と西日本で味が分かれている理由は?

東日本と西日本とでは、歴史的にうどんやそばのつゆの味に違いがあります。

1964年に東海道新幹線が開通し、東西の味の差はやがてなくなるのではないかという意見がありましたが、弊社の開発担当者は歴史的な嗜好の特徴を重視しました。

その結果、全国展開のカップ麺としては初めて、東西で味の異なる2種類のつゆが生まれました。

――東日本と西日本で具体的にどのような違いがある?

『日清のどん兵衛 きつねうどん』では、つゆだけでなく、具材のおあげや、別添の七味も東西で味を変えています。

東日本向けの特徴は以下の通りです。

・つゆ:本鰹と宗田鰹の『Wだし』と濃口醤油が上品に調和した、色の濃いうどんつゆ。

・具材のおあげ:醤油の旨味と甘みを強めた味付けの、柔らかでジューシーなおあげ。

・別添の七味:赤唐辛子を効かせた華やかな風味の彩り七味。

画像提供:日清食品株式会社

一方、西日本向けはこのような特徴だといいます。

・つゆ:本鰹と昆布の『Wだし』と薄口醤油が上品に調和した、色の薄いうどんつゆ。

・具材のおあげ:甘みを強めた味付けの柔らかでジューシーなおあげ。

・別添の七味:和山椒を効かせた華やかな風味の彩り七味。

画像提供:日清食品株式会社

ちなみに、北海道エリア限定では『北のどん兵衛』ブランドとして、さらに違った味わいの『どん兵衛』を販売しています。

北海道産利尻昆布と鰹節の『Wだし』を使用した甘めのつゆが特徴です。

画像提供:日清食品株式会社

販売エリアの境目は?

――販売エリアはどこが境?

境目は関ケ原です。富山県、石川県、福井県、滋賀県、奈良県、和歌山県以西は西日本向けを販売、北海道を除く、そのほかの東日本は東日本向けを販売しています。

前述のように、北海道地区では『北のどん兵衛』ブランドを展開しています。

――どのようにして境目を決めた?

生産時の効率を考えても、つゆは全国で統一したほうがよかったのですが、東日本のうどんは麺が隠れて見えないほどつゆの色が濃く、味もかつお風味が強くやや辛目。

西日本のつゆはあっさりとして甘口、色は薄く深みのある味わいです。

これだけ嗜好が違うのに同じという訳にはいきません。そこで、東日本と西日本でつゆの味を変えると決めました。

しかし、味覚についてのはっきりした文献がなく、当時は東西の味覚の境目がどこなのか分かりませんでした。

そこで、当時の開発担当者が、東京から新大阪まで新幹線のこだまを1駅ずつ降りて、駅の立ち食いや駅周辺のうどんを片っぱしから食べて調査。

その結果、関ヶ原付近に味の境界があることを突き止めました。当時、全国展開のカップ麺として地域別に味を分けたのは初めてでした。

――東日本か西日本かは、パッケージのどこを見れば分かる?

それぞれの蓋には、『東日本限定』『西日本限定』の文字と色の異なる『Wだし』のアイコンがデザインされています。

また、東日本を示す(E)、西日本を示す(W)の表示をカップ本体の側面や蓋に記しています。

西日本出身の筆者は、関東に来て東日本向けの『日清のどん兵衛』を初めて食べた際、見た目の違いから驚きました。

さらに北海道地区限定の『北のどん兵衛』の存在は、知らない人もいるかもしれません。

あなたも機会があれば、3種類を食べ比べてみてはいかがでしょうか。


[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]

取材協力

日清食品株式会社

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