合計特殊出生率 東京で過去最低0.99…初めて「1」を下回る

少子化は一層深刻な事態になっています。去年=2023年の人口動態統計で女性1人が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は全国で1.20となり、過去最低となりました。東京都は都道府県別で最も低い0.99で、初めて「1」を下回りました。

厚生労働省が去年の人口動態統計を発表しました。全国の合計特殊出生率は前年=2022年より0.06ポイント下がり1.20となり、データのある1947年以降の過去最低を更新しました。また、去年1年間に生まれた赤ちゃんの数を示す「出生数」は過去最少の72万7277人で、政府の推計より11年早いペースで減少しています。都道府県別では東京都の合計特殊出生率は0.99で、初めて1を下回りました。

過去最低となった合計特殊出生率について、街の人からは「私自身、子どもが3人いるが、初めての孫が生まれたのでその数字は危機的に感じている」(60代女性・3人の子ども)、「結構前から言われてた問題だと思うので、今からどうこうできる話ではないと感じる」(30代女性)、「扶養手当や保育園に預けることなど、働くハードルが高くなっている印象」(アメリカ在住30代女性・子ども2人)、「子どもを産んで育てにくい社会ということが背景にあると思う」(50代男性・子ども1人)などといった声も聞かれました。

今回の発表を受けて、東京都の担当者は「子育て政策の拡充や強化を検討するとともに、国に対して育児環境の整備を図るよう要望したい」と説明しています。

<東京出生率「1」下回る 少子化対策待ったなし>

女性が生涯に出産する子どもの人数を示す合計特殊出生率は、基本的に右肩下がりとなっています。東京では1971年には2.02でしたが、ついに統計開始以来初めて1.0を切り、0.99まで下がりました。この現状について都の担当者は「事実を重く受け止める。少子化への対策は待ったなし」と話しています。そして都では「望む人が安心して子どもを産み育てられる社会」を目指し、さまざまな施策を講じています。18歳以下の子どもに対して1人当たり月5000円を支給する「018サポート」や、都営住宅を結婚を予定する人や子どものいる世帯に優先的に提供する制度、今年度からは高校授業料の実質無償化も始めています。

そしてこの夏にも新たな試みが始まります。都では「婚活の第一歩」を支援しようと、AIによるマッチングシステムの開発を進めていて、夏に実用化される予定です。このシステムでは利用者が価値観診断テストを行い、その結果からAIが相性の良い相手を紹介してくれるほか、スタッフによる婚活の悩み相談なども実施するということです。また、信頼性を高めるため、顔写真付きの本人確認書に加え、戸籍謄本などの提出が求められ、登録の際にはオンライン面談も必要になるということです。さまざまな施策によって、子どもを産みたい人たちが安心して子育てできる環境や、その先に仕事と両立がしやすい環境の広がりが求められています。

© TOKYO MX