茨城・水戸の高校生 八周岳さん 店舗営業、独立へ奮闘 コーヒーの魅力広めたい

安価なスペシャルティコーヒーの提供をを始めた八周岳さん(右)=水戸市中央

茨城県水戸市内で飲食店の一角を間借りし、コーヒー店の本格経営に挑む高校生がいる。今年4月から、同市城南の店で上質な豆のみを使った「スペシャルティコーヒー」を安価で提供。学業などと両立させながら店頭に立ち、将来の独自の店経営を視野に入れ、バリスタとして独立しようと奮闘している。

コーヒー店経営に挑むのは、同市、鹿島学園高通信制課程3年、八周(はっしゅう)岳(たける)さん(17)。現在は、不定期営業ながら同市の城南と中央の2店舗の一角を借りて来店者とコーヒーに向き合う。「今後も(間借り)出店できるお店を増やせれば」と意気込んでいる。

本格的なコーヒーとの出合いは3年前。市内のカフェでコーヒーを飲みながら勉強していた時、産地や豆によって味や香りが変わるコーヒーの奥深さに引かれた。

当初はコーヒーの酸味が苦手で深いりのものを愛飲していたが、イベントで栽培や品質管理を徹底した豆のみを使った浅いりの「スペシャルティコーヒー」を試飲。「今までは焙煎(ばいせん)から時間が経過した豆の酸味が苦手だった」と気付き、さらにコーヒーの魅力に引き込まれたという。

バリスタになろうと思い始めたのもその頃。イベント主催者の一人だった高橋巧人さん(21)に誘われ、ボランティアでコーヒー店を手伝うようになった。

高橋さんの県外転居を機に、自分で販売する道を模索。ブランド名を、ドイツ語で人の集まりを意味する「kreis coffee(クライス コーヒー)」と名付けた。コーヒーを通して得られた人々との出会いに感謝する思いを込め、提供するカップには「お仕事頑張ってください」など、顧客一人一人にメッセージを書き込んでいる。

提供するのは浅いり豆を使ったフルーティーな味わいが特長のスペシャルティコーヒー。都内専門店では1杯数千円の場合もあるが、高橋さんの厚意で安価で仕入れられるため1杯500円で提供する。あえて安価で提供する理由は「コーヒーの概念を覆すきっかけをつくりたい」との思いからだ。

「コーヒーが苦手なお客さんが『飲みやすいね』と喜んでくれるのがうれしい」と笑顔を見せる八周さん。将来は自分の店舗を構え、県内にスペシャルティコーヒーを広げるのが夢だ。

店舗経営のため経営学を学ぼうと大学受験の勉強に励む傍ら、接客スキルを身に付けるためアルバイト二つを掛け持ちする。こうした苦労も「全てはコーヒーショップのため」と話す。

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