廃止…命の恩人の施設どうして 利用者ら抗議活動 さいたま市が議案提出 高齢者施設、勤務者は労組を結成

さいたま市の廃止方針に反対して抗議活動する「きんもくせい・ぎんもくせい」を守る有志の会のメンバー=5日午前、さいたま市役所前

 埼玉県のさいたま市は5日開会の市議会6月定例会に、高齢者福祉複合施設「グリーンヒルうらわ」(緑区馬場)を廃止する条例議案を提出した。施設の利用者らは同日、市役所前で、「施設を何としても続けることが市の仕事」と廃止反対を訴えて抗議活動した。

 同施設は、介護老人保健施設「きんもくせい」とケアハウス(軽費老人ホーム)「ぎんもくせい」を併設。市は老朽化などを理由として、きんもくせいを来年3月、ぎんもくせいを2030年3月に廃止する方針を示していた。廃止条例議案が提出され、市議会で審議される。

 「きんもくせい・ぎんもくせい」を守る有志の会のメンバーらはJR浦和駅前で署名活動後、市役所前に移動。認知症の妻(71)が施設を利用している同会代表の内藤正弘さん(77)=緑区=は抗議活動で、「本当に親切で丁寧な介護が行われ、きんもくせいは命の恩人。老朽化したから、お前ら出て行けというのに怒り心頭。なぜなくすのか、とんでもない」と訴えた。

 一方、施設に勤務している人たちが、労働組合「グリーンヒルうらわ職員ユニオン」を結成した。

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