富永啓生が米大学バスケ終え帰国、パリ五輪で「歴史作りたい」 代表に専念しつつNBA入り目指す

富永啓生【写真:ロイター】

オンラインで会見

男子バスケットボール日本代表の富永啓生が6日、オンラインで2023-204シーズン帰国報告会見を行った。昨夏のワールドカップ(W杯)では日本代表のパリ五輪出場権獲得に貢献。今年5月には、3季を過ごしたNCAA(全米大学体育協会)1部のネブラスカ大を卒業した。米プロバスケットボール(NBA)入りを目指す23歳が、今夏のNBAドラフト、パリ五輪への意欲などについて語った。

バスケの本場・米国で5年間戦ってきた若武者が充実した表情を見せた。地元・愛知のバスケットボールアスレティッククラブ ディーナゲッツ愛知から配信された会見。5日の夜に帰国したばかりという富永は「言葉もわからない中でアメリカに飛んで生活できたことは、これからの人生にとって成長させてくれた5年間だった。とても良い経験になった」と振り返った。

2019年3月に愛知・桜丘高を卒業後、NJCAA(全米短期大学体育協会)のレンジャー・カレッジに進学。2021-22シーズンからネブラスカ大へ編入した。21年東京五輪は3人制日本代表で出場。2022-2023シーズンに頭角を現すと、3ポイントシュート(3P)能力の高さから、米メディアにもNBAウォリアーズのスーパースター、ステフィン・カリーに例えられ「日本のカリー」と評されるまでになった。

米大学最終年となった今季は34試合中32試合に出場。全試合で先発し、キャリア最高の1試合平均15.1得点をマークした。エースとして同大の10年ぶり8度目のNCAAトーナメント(通称:マーチ・マッドネス)進出に貢献。1回戦で敗退となったものの、同トーナメントのオールスターゲームにも出場し、3ポイントコンテストでは見事に優勝を果たした。

「ネブラスカでの最終年、自分の一番の目標としていたマーチ・マッドネスに出場できてよかった。チームとしても個人としても良いパフォーマンスができた。中心選手としてチームをマーチ・マッドネスに導けたことは良かった。託される存在になれたことは嬉しかった」と胸を張った。

シーズン前に行われた昨夏のW杯では、日本代表の歴史的な3勝に大きく貢献した。特に48年ぶりに自力での五輪出場権獲得を決めたカーボベルデ戦では、3Pを8本中6本成功させるなど22得点の大爆発。今月3日に発表された日本代表の第2次強化合宿参加メンバーにも名を連ねており、パリ五輪出場が期待されている。目標とする日本史上初のベスト8進出に向け、富永は活躍を誓う。

「日本のバスケットの歴史を作っていきたい。自分たちの100%、120%のバスケットを出し切りたい。五輪は特別なもの。それに対する気持ちは強い。一生忘れることのないイベントになると思うので、悔いのないようにやっていきたい」

個人として第一優先の目標は変わらず「NBA選手になること」と断言。NBA10球団近くからワークアウトの声がかかり、スケジュールも加味して3チームのワークアウトに参加した。「自分のストロングポイントは出せた。見せたいプレーは見せられた。手応えは結構あった」。今月26、27日(日本時間27、28日)に行われるNBAドラフトでの指名は難しいと見ているが、パリ五輪でアピールを狙う。

「今は日本代表に専念することを考えている。来季の所属先は決まっていないので、パリ五輪で活躍して、チームからオファーをいただけたらというのが今の自分の考え」。7月12日(同13日)から米ラスベガスでNBAサマーリーグが開催されるが、日本代表合宿を優先する予定だ。

THE ANSWER編集部

© 株式会社Creative2