アマゾン先住部族が!あっという間にスマホ依存に!人命救助のためネット接続したら…

ネット環境が導入されたマルボ族居住地(フローラ・デュトラさんのユーチューブ画像から)

アマゾンの辺境部族を助けるためにインターネット接続できる環境をつくる試みが昨年に行われていた。しかし、ネットに接続したところ、部族の人たちが結局はポルノやSNSにハマってしまったというてん末を米紙ニューヨーク・タイムズが先日、報道。欧米メディアが続々と大きく伝えている。

アマゾンのマルボ族は9か月前、イーロン・マスク氏が立ち上げた衛星インターネットサービス「スターリンク」のおかげでインターネットに接続できるようになった。2000人ほどの部族だ。

先住民族とともに活動するブラジルの活動家フローラ・デュトラさんがマルボ族をインターネットに接続させるのに尽力した。必要なアンテナは、米起業家アリソン・ルノー氏によって部族に寄贈された。

当初、ネット接続は、ヘビにかまれるなどの緊急時にすぐに助けを求めることができるようになるなど、辺境の部族にとってプラスになるはずと期待されていた。ヘリコプターなどの緊急医療援助はネット接続以前なら数日かかっていたが、今ではすぐに現場に到着できるようになった。それで助かった命もあるという。

また、マルボの若者たちにとって、いろいろな可能性が開かれることになった。ある10代の少女はニューヨーク・タイムズ紙に「今は世界を旅することが夢だ」と言い、別の10代の少女は「サンパウロで歯科医になることを夢見ている」と明かした。

しかし、部族のツァイナマ・マルボさんは同紙に「それが届いた時、みんな喜んでいました。今では状況は悪化しています。若者はネットのせいで怠惰になり、白人のやり方をマネしています」と語る。

マルボ族は貞淑な部族で、公共の場でキスをすることさえ嫌うという。アルフレド・マルボ(マルボ族は全員同じ姓)さんは、マルボの若い男性の多くがグループチャットでエロ動画を共有しているとして、「若者が突然スマホの画面で見ることになった生々しい変態的な性行為をマネしてみたくなるのではないかと心配している」と話す。

さらにリーダーのエノク・マルボさんは「日常生活が大きく変わり、悪影響が出ている。村では狩りをしたり、魚を釣ったり、植物を植えたりしなければ、食べることができません」と不満を述べた。

ネット接続によって暴力的なシューティングゲームをプレーする子供から、オンラインで見知らぬ人とチャットする子供、一日中ずっとスマホをいじり続ける子供もいるという。

若者たちのネット依存が深刻になったため、マルボ族のリーダーたちは現在、毎朝2時間、毎晩5時間、日曜日は終日、ネットへのアクセスを禁じている。

世界でネットは数十年かけて緩やかに浸透したが、マルボ族では瞬時の出来事。特殊なケースとして世界が注目しているのだ。

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