田原桂一『OPÉRA de PARIS』ポーラ ミュージアム アネックスで パリ・オペラ座を撮影した約30点を公開

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フランス芸術文化勲章シュヴァリエやパリ市芸術大賞、木村伊兵衛賞などを受賞し、世界的に活躍した写真家・田原桂一(1951–2017)。その田原がパリ・オペラ座を撮影し、1995年に出版した写真集『OPÉRA de PARIS』をテーマとする展覧会が、6月21日(金)から7月28日(日)まで、東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで開催される。

京都に生まれ、1971年に渡仏した田原は、日本の柔らかい光とは違うヨーロッパの刺すような鋭い光に衝撃を受け、写真家として活動を始めた。以降2006年までパリを拠点とし、光をテーマに写真、彫刻、インスタレーション、建築と幅広く活躍。1977年に「窓」シリーズでアルル国際写真フェスティバル大賞を受賞して、一躍世界的な脚光を浴びてからは、日本とヨーロッパで数多くの展覧会を開催してきた。

田原桂一 写真集「OPÉRA de PARIS」(撮影:1987年〜1994年、出版:1995年)より

その田原が、フランス政府の依頼を受けてパリ・オペラ座の撮影に取り組んだのは、1987年から1994年の8年間。自然光の中での長時間露光によって、被写体がドラマチックな雰囲気と質感で表現される田原独自の撮影スタイルを知る当時のオペラ座の責任者ピエール・ベルナールが、オペラ座を撮影するのに最適だと考えて依頼したのだという。撮影はオペラ座の壮麗な建築やしつらえだけではなく、華やかな衣装や宝飾、さらには舞台装置の表と裏にまで及び、約550点に及ぶ作品が「ARCHITECTURE(建築)」「COSTUMES(衣装)」「BIJOUX(宝飾)」「MAQUETTES(舞台美術)」の4冊からなる大判写真集「OPÉRA de PARIS」として出版された。

同展は、世界中で高い評価を受けたこの写真集の中から厳選された作品約30点を、オペラ座の世界観をイメージした会場で展観するものだ。また会場では、2,000冊限定で出版された貴重な原本が展示され、写真集をもとに制作された映像の公開される。

田原桂一 写真集「OPÉRA de PARIS」(撮影:1987年〜1994年、出版:1995年)より

田原自身はこの撮影について「その当時どれほどの時間と人を費やして作り上げられたのか、誰が着て何を演じたのか、過ぎ去った時間に思いを馳せることの楽しさがあった。先へ先へと進むばかりでなく、過去をふりかえり検証する事の面白さも、いま忘れてはならないことなのかもしれない」というコメントを残している。特別な会場で見るその美しい作品を通して、オペラ座を満たす過ぎ去った時間に思いをはせてみたい。

<開催概要>
田原桂一『OPÉRA de PARIS』

会期:2024年6月21日(金)~2024年7月28日(日) ※会期中無休
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
公式サイト:
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/

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