モディ首相が与党連合の支持確保、今週にも3期目政権発足 インド総選挙

インド総選挙で過半数議席を確保できなかった与党・インド人民党(BJP)を率いるナレンドラ・モディ首相(73)は5日、与党連合を構成する政党と会談。与党連合の支持を確保し、3期目続投が決定的となった。

4日に開票されたインド総選挙では、モディ氏率いるBJPを中心とする与党連合・国民民主同盟(NDA)が、下院の定数543議席のうち過半数の293議席を得たものの、BJP単独では第1党ながら過半数に満たない240議席にとどまった。

事前にはBJP大勝も予想され、モディ氏は370議席を目指すとしていたが、2019年の総選挙で得た303議席から議席を減らし、政権維持のため、NDAを構成する小規模政党に頼る結果になった。

モディ氏は今週中にも新政権を発足する可能性が高い。首相を連続3期務めるのは、初代首相ジャワハルラール・ネルー氏に続き2人目。

他方、計232議席を得た野党側は、今のところ正式に敗北を認めていない。

最大野党・国民会議派を軸とする野党連合・インド国家開発包括同盟(INDIA)も5日、首都デリーで会合を開き、今後の対応について協議した。

「世界最大の選挙」と呼ばれるインドの総選挙は、登録済み有権者が約10億人に上り、投票所のひっ迫を避けて安全を確保するため、投票は4月19日から今月1日まで7回に分けて実施された。

この間、インドの一部では気温が50度近くまで上昇する、厳しい状況での投票となった。結果的に、6億人以上が投票し、投票率は66%だった。

新しいモディ首相に?

NDAの発表によると、5日の会合はデリー市内のモディ邸で行われ、モディ氏は「満場一致で」NDAのリーダーに選ばれた。NDAは「インドの貧しい人々や女性、若者、農家、そして搾取されたり、困窮したり、抑圧されたりしている市民に尽くすことを約束する」と付け加えた。

連立各党が、BJPからどのような譲歩を引き出したのか、具体的なことは今のところわかっていない。

会合前には、NDAの中でも強力な政党が支持の見返りとして、閣僚ポストを要求しているのではないかと憶測されていた。

BJPが単独過半数を確保していない状態で、モディ氏が連立政権で首相を務めるのは初めて。それだけに、今後5年間の任期の見通しは不透明だ。

モディ氏の伝記を書いたニラナジャン・ムコパディヤイ氏はAFP通信に対し、「モディ氏は他者の視点に立たざるを得なくなる」と言い、「もっと民主的かつ健全な議会が見られるだろう」とも付け加えた。

「モディ氏はこれまで一度もなったことのない指導者に、ならなくてはならない。新しいモディ氏を見ることになるしかない」

こうした中、野党連合INDIAは総選挙で勝利こそ逃したものの、結果については大いに歓迎している。

最大野党・国民会議派のマリカルジュン・カルゲ党首は、「我々の連合が圧倒的な支持を受けた」ことを称賛し、有権者はBJPの「憎悪や汚職、欠乏による政治」に反対しているというメッセージを送ったのだとした。

カルゲ氏は「これは、インド憲法を擁護し、物価上昇や失業、縁故資本主義に反対し、民主主義を守ってほしいという、(有権者からの)委任だ」と、ソーシャルメディアで付け加えた。

NDAの勝利宣言を受け、米ホワイトハウスはモディ氏を祝福し、アメリカはインドと強力して「自由で開かれた」アジアを確保したいと述べた。

(英語記事 Allies back Modi for third term after election setback

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