今年入社した会社で有休を取得しました。有休を貯めていつか大型連休を取得しようと思案していましたが、有効期限が2年って本当ですか?

有給休暇には有効期限がある

実は、法律によって有給休暇の有効期限は2年と定められています。つまり、2年以内に使い切らないと有給休暇は消滅してしまうのです。

有給休暇は、就労開始から半年が経過した時点で、8割以上出勤している場合に付与されます。正社員だけでなく、一定の条件を満たせばパートやアルバイトでも付与の対象となるのが特徴です。

使い切れなかった有給休暇は翌年に持ち越しできますが、持ち越したことを忘れてしまうと消滅してしまうため、効率的に消化した方がよいでしょう。

使わない有給休暇が消滅する理由

有給休暇は、要件を満たすすべての労働者に与えられる権利であり、心身ともにリフレッシュすることを目的としています。計画的に取得することが望ましいとする制度のため、使わずに貯めておいたのでは、有給休暇が設定された意味がなくなってしまいます。

そもそも、日本人は休まず働くことを美徳とする傾向があるため、休みづらい会社では有給休暇の消化率が上がらないのは明らかです。そこで、企業に対する罰則を設けて2年間使われなかった有給休暇は消滅してしまう仕組みにすれば、有給休暇の適切な使用の促進につながると考えられたのです。

しかし、現実には訴えを起こせず、使用期限が設けられていてもすべてを消化できず、繰り越せる上限に引っかかって有給休暇が消滅してしまうケースも多いのが実情です。「休みたくても代わりの人がいないから無理」という周囲への影響に配慮する声も聞かれます。このような傾向は、大企業よりも人手が少ない中小企業に多く見られるようです。

有給休暇は原則として最大20日繰り越しでき、トータルで40日まで保有することが可能です。有給休暇が設定された趣旨を理解し、適宜取得して心身をリフレッシュしたいものです。

労働基準法の消滅時効改正でも有給休暇は対象外

2020年4月に、労働基準法の賃金に関する消滅時効が見直され、消滅時効期間が原則5年(当面の間は3年)となりました。要するに、労働者が未払い賃金を請求しやすくするための改正だということです。

しかし、有給休暇の消滅時効期間は2年のまま据え置きにされました。労働基準法は労働者を守る法律なので、有給休暇が消滅するまでの期間を長くすることは、有給休暇の適切な取得の妨げになると判断されたのです。つまり、労働者に有給休暇をできるだけ多く消化させるために、あえて消滅時効を延ばさなかったのだと考えられます。

有給休暇を効果的に使うには

日本では、有給休暇を使うことに罪悪感をおぼえてしまう人も少なくありません。日本の有給休暇消化率が世界的に見ても低水準であることを改善するために、2020年4月に改正労働基準法が施行されました。改正労働基準法により、企業には「年10日以上の有給休暇が付与される労働者」に対して、年5日の有給休暇を取得させるよう義務付けられています。

せっかく積極的な消化を求められているのですから、年に数回、まとまった有給休暇を取得して旅行する計画を立てるのもよいでしょう。労働者に与えられた権利を存分に活用していくためにも、「休むのは悪」という意識を変えていくことも大切です。

有給休暇は有効期限内に使い切ろう

有給休暇は労働者に与えられた権利であるため、遠慮せずに取得しましょう。また、有給休暇を有効期限内に使い切ることも大切です。有給休暇を活用して心身をリフレッシュできれば、公私ともに充実させる意欲にもつながるはずです。

出典

厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
日本労働組合総連合会 民法の消滅時効と賃金
e-Gov法令検索 労働基準法 第三十九条,第百十五条

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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