函館名物「ラッキーピエロ」 売れる理由と戦略は

今週のけいナビの特集は、日本経済新聞との連動企画「食の王国・売れる極意」。函館の人気ハンバーガーチェーン、ラッキーピエロの人気の理由と今後の戦略について取材した。

ラッキーピエロは、函館を中心に道南エリアで17店を展開。観光客、地元客の双方から人気を集め、全店合わせて年間250万人ほどが訪れるという。一番人気のチャイニーズチキンバーガーの販売数は、年間なんと175万個に上るというから驚きだ。

創業者は現会長の王一郎さん。もともと函館で中華レストランを経営していて、そこで提供していた「チャイニーズチキン」を具材に、中華風のハンバーガーを出してみようと思い立ったのがきっかけだ。1987年に市内に1号店をオープンした。

17店全てに独自のコンセプトを持たせ、「テーマレストラン」として展開する。現在社長を務めるのは娘の未来(みく)さん。客の多くは観光客なのかと思いきや、意外にも6割は地元客。中には98パーセントが地元客という店舗もあるという。

地元客に受け入れられている理由のひとつは、メニューの豊富さ。140~160種類の商品を提供し、ハンバーガーショップというよりはレストランとして支持されている。多くは、オムライスやカレーライス、ステーキなどハンバーガー以外のメニューを選ぶのだという。

ラーメンも人気メニューのひとつ。函館というとあっさりとした塩味を思い浮かべるが、こちらはややこってりとした豚骨スープがベース。市内にある人見店では、ハンバーガーよりも人気があるという。

そんなラッキーピエロ、出店しているのは道南エリアだけで、今後もほかの地域に進出することはないとする。背景にあるのは地域ナンバーワン主義。「どんな人も来てみたいと思うのは、その地域でナンバーワンの店」(一郎さん)という考えで、そうなれないのであれば、ほかの地域に出店してもうまくはいかないと考えている。

ほかの地域には出店しないが、商品は全国各地に広く届けていく方針。そのために数年前から取り組んでいるのが、土産品の開発だ。カレーやラーメンといった店内で提供している商品を、様々な場面で販売していこうとしている。輸出にも取り組むという。

社長の未来さんは、こうした土産品を含む物販の売り上げを、全体の2~3割にまで伸ばす考えを示す。高齢化が今後さらに進めばハンバーガーを中心とした主力商品の購買量の減少は避けられず、そうした部分を物販の売り上げで補っていきたいとする。

ラッキーピエロのさらなる飛躍のカギを握る物販部門。今後どのように発展していくのかが注目される。

(2024年6月8日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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