イオン/新総菜工場が稼働、店舗の総菜販売能力2割アップへ

イオンは6月6日、新コンセプトの総菜プロセスセンター(以下:PC)「Craft Delica Funabashi(クラフトデリカ船橋)」(千葉県船橋市)の本格稼働を開始した。

<イオン総菜戦略発表会>

※左からイオンフードサプライ戸田茂則社長、手塚氏、井出氏、イオンフードサプライ西尾健一シェフ・開発担当

同日行われた記者会見で、井出武美 イオン執行役GMS担当 兼イオンリテール社長は「イオン、イオンリテール、イオンフードサプライを中心に2021年から次世代PC設立に向け、検討を開始した。今回、家庭のおかずの代替ではなく、定番品に加え、レストランメニューを気軽に手ごろな価格で楽しめる総菜を提供できる体制を整えた。総菜のアウトパック、ソース・たれ・食材などのキット供給で、総菜に関する店舗作業を減らし、店舗における総菜販売能力を20%以上向上させる計画だ」と抱負を述べた。

<シェフ品質の総菜を追求>

「クラフトデリカ船橋」では、高品質なアウトパック総菜、最終加工は店舗で行う半加工品、ソース・たれ・食材などのキットを製造する。約40品目の総菜を製造開始し、100品目まで伸ばす(イオングループの標準店舗の総菜は約500品目)。

商品供給先はイオンリテール、まいばすけっとなど関東エリア計約1500店舗。物流体制などを調整のうえ、今後ウエルシアなどグループ各社の店舗に供給したい考え。

<クラフトデリカ船橋>

ソース、たれ、食材などのキットは「クラフトデリカ船橋」から全国展開を予定している。

イオングループは全国に14のPCを保有している。「クラフトデリカ船橋」は従来型PCと違い、商品開発の段階から、企画、料理、製造、店舗のプロチームが集結し、シェフ品質の総菜を追求するSPA体制をとっている。

<主なメニュー>

レストランメニューの主な商品は、シェフ監修のアメリケーヌソースをつかった「海老トマトクリームスープごはん-リゾット仕立て-」(税別398円)、ココナッツミルクをふんだんに使った本格レシピでつくる「タイ風ココナッツカレー」(498円)、自社製黄金比ハンバーグと独自レシピのソースで焼き上げた「濃厚ホワイトソースで味わう!ハンバーグドリア」(458円)など。

■MD改廃サイクルを速め、顧客ニーズの変化に対応

手塚大輔 執行役物流担当は「総菜SPAによる『まいにち、シェフクオリティ』で、総菜事業の革新を目指す。新PCはR&D機能を持ち、少ロット製造設備もあるため、企画・製造・テストマーケティング・本格販売のサイクルを迅速に回し、MD改廃サイクルを速めていく。従来の総菜開発は、開発担当の個人的力量に依存していたり、市場トレンドや顧客ニーズにタイムリーに応えきれていなかったりと課題があった。新PCでは食のプロチームによる開発で、プロダクトアウトではなく、マーケットインの開発を強化する」と説明した。

また、2028年までに中部、関西など3大都市圏にPCを開発する。「クラフトデリカ船橋」の稼働開始を皮切りに、イオングループの総菜レベルのさらなる向上を図る。

井出執行役は「新PCの活用で、お客様に高品質な総菜を提供。和洋中問わず、すべての年代の方に楽しんでいただきたい。さらに、アウトパック総菜や半加工品の導入で、店舗でのスタッフの製造業務の負担を減らし、生産性アップも狙う。今後、需要予測・発注システム『AIオーダー』と連携し、原材料の調達、計画生産も視野に入れた無理、無駄、ムラのない、フードロスを減らす製造・物流体制を実現したい」と意気込んでいる。

■Craft Delica Funabashi(クラフトデリカ船橋)
運営会社:イオンフードサプライ
住所:千葉県船橋市高瀬町24-6
稼働開始日:2024年6月6日
延床面積:2万1868m2
製造商品:温総菜、寿司、チルド総菜、弁当の半加工品・完成品、ソース、原料加工
商品供給先:イオンリテール、まいばすけっと など関東エリア合計約1500店舗

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