パナソニック、LUMIX「GH7」発売。ProRes RAWの動画RAW内部収録や32ビットフロート録音対応

パナソニックは、ミラーレス一眼カメラLUMIX「GH7」を2024年7月26日より発売する。希望小売価格はオープン。市場想定価格は以下の通り。

  • GH7(ボディのみ):税込27万4,200円前後
  • GH7(H-ES12060レンズキット):税込34万7,500円前後
  • DMW-XLR2:税込5万5,400円前後
GH7レンズキットとDMW-XLR2との組み合わせ

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裏面照射型CMOSセンサーを搭載

イメージセンサは、約2,500万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。GH6からの進化として、像面位相差オートフォーカスを搭載する。

加えてGH6で話題になったダイナミックレンジブーストと呼ばれるHDR撮影を実現する機能も継承し、マイクロフォーサーズとは思えないほどのダイナミックレンジを実現可能としている。GH6発売当時の同機能は技術的課題があり、logベースでISO 2000でのスタートという仕様で登場した。そのため、野外の撮影では使いにくいと不満を聞くことが多かった。

その問題をG9PROIIでは、フルISOレンジ対応に改善。logではISO500スタートで使用可能を実現、「スタンダード」や「ヴィヴィッド」といったフォトスタイルではISO100スタートを可能になっている。GH7では、G9PROIIと同等のフルISOでのダイナミックレンジブーストを引き継いでいる。

被写体認識AFに列車、飛行機の認識を追加

AF方式は像面位相差AFに対応。S5ⅡやG9PROIIから像面位相差AF対応を継承してきており、動体追従性の面では、逆光や点光源に対応しやすくなっている。

被写体の認識では、列車や飛行機の被写体認識を追加する。動画でも写真でも使用可能。さらに、列車や飛行機の追従についても、被写体の部位を撮影者がセレクトすることができる。例えば車であればフロント部分を優先、バイクであればヘルメットを優先、電車であれば運転席を優先、飛行機であれば機種付近を優先のような部位設定を可能としている。

夜間撮影、ズーム撮影、歩き撮り時のブレを強力に補正

手ブレ補正は、GHシリーズの強力な機能を継承している。例えば静止画撮影では、5軸7.5段のボディ手ブレ補正「B.I.S.」を搭載。35mmカメラ換算の焦点距離120mmまでのブレの補正に対応する。また、カメラとレンズが協調制御をする「Dual I.S.2」を搭載。こちらも同じ7.5段ではあるものの、35mmカメラ換算の焦点距離280mmまでしっかりと対応することを可能としている。

加えて、動画撮影においては、最新の手ブレ補正テクノロジーを全て搭載。「アクティブI.S.」はカメラ自体が自分のブレの状態を検知して、手ブレ補正のユニットのパワーを最大化するというテクノロジーを搭載。ランニングなどの大きな揺れでも補正が可能としている。加えて「E.I.S.」には動画周辺歪み補正を搭載し、広角レンズ使用時における周辺歪みを低減する。

32ビットフロート録音をミニマムセットアップで実現

GH7と同時に、現在発売中のXLRアダプター「DMW-XLR1」の後継機種「DMW-XLR2」が登場する。XLR2には、キャノン端子2つとφ3.5mmのステレオミニジャック1つを搭載する。最大で4チャンネルを32ビットフロート録音が可能になる。レンズ交換式デジタルカメラとしては、世界初の対応としている。XLR1は今後も販売を行う予定としている。

ミニマムセットアップで動画RAW記録が可能

動画RAW記録では、ProRes RAW内部記録に対応する。今までの動画RAW記録は、HDMIの外部出力で対応のために別途レコーダーを必要としていた。しかし、レコーダーがあることによって機動性が落ちたり、レコーダーのためにSSDを準備する、バッテリーを充電するなどの準備に手間のかかることが多かった。GH7では、内部収録を実現できることによって、その辺の手間を解消することが可能になるという。

アーティスティックな写真や映像を撮って出しで制作可能

リアルタイムLUTにも対応する。S5シリーズではS5IIから搭載の機能だが、自分のクリエイティブをLUTで試す感じの打ち出し方をしていた。GH7の場合は、タイトなスケジュールで完パケしなければいけない時やアフタームービーなど、即納品しなければいけない現場で使えるかもしれない。

簡単なペアリングと多彩な編集ツールでワークフローを効率化

スマートフォンをワイヤレスで連携・操作することのできる、iOS/Android機器向けのアプリ「Lumix Lab」にも対応する。こちらは基本、LUMIX S9と一緒の仕様となる。オリジナルのLUTを内部で作ることが可能で、クリエイターのLUTをダウンロード可能。また高速のペアリングと転送が可能で、以前のLUMIX Syncよりも使い勝手が向上しているという。

S5II、S5IIXでも対応したプロキシ記録に対応

低ビットレートのプロキシファイルの記録に対応する。プロキシ記録自体は2024年4月のファームウェアアップデートでS5II、S5IIXについては対応したが、GH7でも対応する。アドビのFrame.ioにも対応するので、プロキシをFrame.ioにアップロードしながら、カメラマンと編集者が別々の場所にいて、すぐに編集開始のような形でのワークフローも実現可能だ。

記録時間無制限を実現

LUMIXの強みである記録時間の無制限も継承している。放熱のシミュレーションや熱を逃がすためのノウハウなどをしっかりと確保することによって、現場で止まらないカメラを実現している。耐久性は、防塵防滴、-10℃にも耐えうる耐久性、フルマグネシウム合金ボディによる耐久性を確保。またシャッターユニットも20万回の耐久性のあるユニットを採用している。

加えてチルトフリーアングル液晶を搭載し、HDMIやUSBケーブルとモニターが干渉することがない機構を実現している。

ダブルカードスロットを搭載し、構成はGH6と同じくCFexpress Type Bを一つ、SDメモリーカードを一つ、合計2つのスロットを搭載している。

G9PROIIと同等の静止画撮影機能を搭載

パナソニックのマイクロフォーサーズ対応システムは、GHとGをラインナップし、写真と動画を軸に展開中だ。Gシリーズの最新機種はG9PROII、GHシリーズの最新機種は今回発表のGH7のラインナップとなる。ただ、今回発表のGH7は動画に軸足がありながらも、静止画性能はG9PROIIと同等を実現。動画に軸足があるカメラマンが写真を撮りたいというときでも十分使用できるハイブリッドな仕様を実現している。

電子シャッターのAFコンティニュアス(AFC)で60fps、AFシングル(AFS)で70fps、さらに連写撮影前から連写記録を行うことができる新機能「プリ連写機能」にも対応している。また、G9PROIIから搭載した新たな「Leicaモノクローム」にもGH7は対応している。加えてハイレゾモードを搭載し、約1億画素の手持ちハイレゾ撮影が可能。建築物や美術品などの撮影に有効な機能となりそうだ。

最後に、細かい部分になるがOLEDファインダーが少し進化をしている。368万画素となり、GH6では倍率は35mm換算で0.76倍の倍率から、GH7では0.8倍を実現している。

ボディ形状自体はGH6と同じになる。細かい点で変化点として2つあり、一つは肩バッジの「GH6」は「GH7」に変更。もう一つはモードダイヤルの質感がヘアライン加工からマット系の加工に変更となっている。基本的にGH6からボディ形状は一切変更がないので、GH6のリグやゲージをそのままGH7で利用可能としている。

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