「命、尊厳を返してほしい」鎌田大地にトゥドール監督…今夏も揺れるラツィオ、古くからのファンである歌手の苦言が話題に「予算も計画も現在も未来もない」

パラディソ氏とロティート会長(右)[写真:Getty Images]

ラツィオの熱狂的なファンとしても知られるイタリア人歌手のトンマーゾ・パラディソ氏が、クラブへ苦言を呈した。
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イタリアのポップバンドである「Thegiornalist」のボーカルを務めたフロントマンであったパラディソ氏。現在はソロ活動をしている。

そのパラディソ氏は、ローマで生まれ、ラツィオのファンとして長年クラブを応援してきた。

しかし、その愛するクラブは今夏の移籍市場でちょっとした騒動が起きている。

日本代表MF鎌田大地との契約交渉がもつれたことに始まり、シーズン途中の3月に就任し立て直しに成功したイゴール・トゥドール監督もクラブのプロジェクトと折り合いがつかずに辞任することが5日に発表された。

その他にも、不満を抱えている選手がいるとされているが、これは今に始まった事ではない。

2004年からラツィオの会長を務めるクラウディオ・ロティート会長は、財政難に陥っていたラツィオを買収。有名な倹約家としても知られ、補強にかける資金はごく限られたもの。また、選手や監督と報酬をめぐる交渉などは一切受けることはないことでも知られる。

かつては、退団を希望した選手たちを出場停止にさせるなど、忠誠心も求める会長。そのため、意に反する要求を出したものは、排除されることも少なくない。

これまでも多くの重要な選手がチームを去るなどし、ラツィオのファンは苦い思いをしてきた中、パラディソ氏はトゥドール監督の辞任を発表する投稿に長文メッセージを投稿。1300件以上のいいねがつくコメントでは、クラブが現在のサッカー界で置いて行かれていることを危惧し、応援する人々のことを考えてもらいたいと訴えた。

「我々は今もバラバラだ。我々が傷つき、少し諦めてもいるが、諦めたくない。現在も心配しているが、何よりも将来が心配だ。崩壊しつつあるクラブと行為に落ちる必要のある新しい世代のことを考えている」

「ここでの問題は、満足できないという理由で1人の監督、いや2人の監督が3カ月以内に辞めることよりも深刻だ。問題はさらに根深い」

「もう愛はない。あるのは敵意と嫌われるためになんでもするということだ」

「我々には愛と家族が必要だ。我々は姿を消しつつある。他の社会は成長し、熱狂を生み出している。我々は後退するだけだ」

「我々はかつて経験したことのないレベルの疲弊に達しつつある。我々は見捨てられた。多くの選手と同様に、監督も去り、去りたがっていく。我々は敵対的になってしまった」

「我々は空の色を持っているにも関わらず、灰色の世界にいる。我々には、予算も計画も現在も未来もない」

「我々には夢もない。この社会を取り巻くものは、全て死につつあり、単一経営であることを考えると、この会社はもう存在しない」

「私は敬意と礼儀正しさをもって、私や我々に属するすべての礼節を持ってお願いする。我々の命を返してほしい。尊厳を返してほしい。ラツィオを返してほしい」

ロティート会長が就任して20年。その間獲得したタイトルはコッパ・イタリアの3回と、スーペル・コッパの3回。主軸選手でも優遇はほとんどしない中で、チーム力はなかなか上がらない中でも、ほとんどのシーズンを1桁順位で終え、3位以内も3回あるなど、上位をうかがえる状況にはある。

ただ、周囲のクラブが変化をしている中では、パラディソ氏の指摘通りになる可能性は十分ある。今夏も結局はポリシーを守ることを優先したが、この先どんなシーズンを歩むのか注目だ。

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