なべやかん遺産|「ゴジラ×コング 新たなる帝国」 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ゴジラ×コング 新たなる帝国」!

ゴジラ映画の鑑賞マナー

映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』を観た。日本や海外のゴジラファンの間では『ゴジラ-1.0』の大盛り上がりが収まりきらない中で劇場公開となった。

『ゴジラ-1.0』は第96回アカデミー賞で邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞受賞という快挙を成し遂げたので、このゴジラ旋風が追い風になるのか、はたまた作品内容次第では逆風になるので不安とワクワクが入り乱れた気持ちで劇場に向かった。

劇場鑑賞日はもちろん初日。よっぽどの予定がない限り初日に観る事にしている。これはゴジラに対する自分なりの最低限のマナーだ。

劇場に着くや否や売店に並び今回の劇場公開記念ソフビや通常版を買う。最近はゴジラ・ストアでも買えるし劇場限定じゃないのが不満。

でも、劇場限定にすると転売ヤーが買い占めちゃうしな。転売ヤー本当に迷惑。劇場公開記念ソフビだが、売り切れると再販があるからありがたみがない。やっぱりプレミア感が欲しいよね?

でもそうなると転売ヤーが買い占めちゃうから本当に迷惑。(二度目)

売店でパンフレット、通常版ゴジラとコング、劇場公開記念ソフビのゴジラを買う。(二種類あるが公開日は一種類のみ販売)

まさか劇場売店で一万円以上の買い物をする羽目になるとは…。こういった行動をしてしまう事自体、舞い上がっている証拠だ。

初代ウルトラマンよりでかい!

『ゴジラ×コング 新たなる帝国』の物語は前作『ゴジラvsコング』の続編で、ゴジラは怪獣王として怪獣達から地上を守っていて、コングは故郷である地球の地下空洞で暮らしている。

独りぼっちのコングは仲間達を探す日々。それと同時に地下空洞から電波信号が感知され、主人公チーム(怪獣調査を行う研究機関)が調査開始。地下空洞から電波を送っていたのはイーウィス族で結晶体ピラミッドを利用し地上の怪獣へSOS信号を発信していた。

コングは地下空洞で遂に同族と巡り合うも襲撃を受ける。その時、小猿のスーコを捕まえ、同族達を奴隷にしている支配猿のスカーキングの元へ案内させる。スーコだが、子猿だと思っていたら身長45メートルもありやがる!!

小さいイメージだったけど初代ウルトラマンよりでかい!!!

スカーキングの命令でシーモ(新怪獣)はコングと戦う。シーモアは冷気を操る能力を持ち、地球を氷河期にした過去を持つ。右手を凍らされダメージをおうコング。一方地上では危機を察したゴジラが様々な核保管施設から放射能を吸収しエネルギーを蓄えていた。

地上に逃れ、ゴジラに危機を伝えに現れたコングに対し、熱線を吐くゴジラ。(せっかく蓄えたのに!)
戸惑いながらもコングとゴジラの対決になるが、ここはお約束シーンだ。

かつての『東映まんが祭り』でもそうだった。『マジンガーZ対デビルマン』や戦隊シリーズ映画でも最初はヒーロー同士がお互い敵だと思って戦ったりする。

今回はまさにそんなセオリー通りの展開だ。戦うゴジラとコングを宥めて共に戦う事を諭すのはイービィス族のもとから飛び出したモスラだった。モスラの説得シーンはゴジラ好きにはお馴染みだ。

『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)でキングギドラから地球を守る為に共に戦えとゴジラとラドンを説得したモスラを思い出す。でもこの時は幼虫だったが。

ゴジラとタッグを組んだコングはモナークの獣医トラッパーが開発した解剖メカ型激震性サンダー・グローブを右腕に装着しスカーキングと戦う。おおよそこんなストーリーだ。

タイトルは『コングの大冒険』のほうが……

今回の映画タイトルは『ゴジラ×コング 新たなる帝国』だが、映画を観終わった瞬間『コングの大冒険』というタイトルの方が良かったのではと思った。ゴジラメイン映画のように思われるがゴジラはゲスト的な感じだったしね。

スカーキングとの対決でもフィニッシュはコングだったし。これは前作『ゴジラvsコング』の時も同じだった。プロレスのタッグマッチだってそうでしょ?

誰が最終的にフォールを取るかが大事だからね。怪獣同士の対決もフィニッシュを取るのは大事。やはりアメリカではキングオブモンスターはゴジラでなくキングコングなのだなーって思わせる瞬間だった。

映画タイトルに関してはブルース・リーでもクレージーキャッツでも騙された過去はあるが、それに比べたらゴジラはしっかり出ているので許そう。でも、やっぱり『コングの大冒険』がお似合いだな。(笑)

タイトルはどうあれグッズは揃える。今回主役のコングを称えキングコングのソフビをいくつか紹介しよう。

まずは今回劇場で買った3体。解剖メカ型激震性サンダー・グローブを右腕に装着したコングと通常版&劇場公開記念ゴジラ。

バンダイのムービーモンスターシリーズで白いのが公開記念版。後発で公開記念版のピンクも発売された。こちらは劇場でなくゴジラ・ストアで購入。

ブルマァクのキングコング。キングコングのソフビで一番好き。
ブルマァク2種類を比較。大きい方のお腹のパーツが邪魔だ。
オンダのキングコング。もう少し肉厚だったら良かったのにな。

キングコングで一番のお気に入りはブルマァクのソフビ。1976年に映画がリメイクされた時に発売されたもの。当時、キングコングにどっぷりハマり劇場に6回観に行ってしまった。

キングコングのソフビは当時自分の宝物で、姉の為に飾られた雛人形の雛壇中央に飾ったりしていた。ブルマァクからはこれより少し大きめの物も発売されていて、こちらはお腹に回転笛みたいな物が付いている。

背中側から息を吹きかけると回転し音が鳴る。何の為にこんな装置を内蔵したのだろう?コングの鳴き声がするならまだしも…。全く意味がわからない。

1976年リメイク版キングコング公開時、玩具メーカーのオンダからもソフビ人形が発売された。こちらは小ぶりで力強さをあまり感じないがキングコングだから許す。

マルサンのジャイアントゴリラ。ゴジラブルーと呼ばれている成形色が素敵!
マルサン復刻版。カリスマ塗装師にかかると素晴らしいソフビになる。

マルサンから発売されたジャイアントゴリラも好きだ。本当キングコングとして発売されるべきソフビだったのだが、東宝が『キングコング対ゴジラ』『キングコングの逆襲』を作った時にマーチャンダイジング契約をしていなかった為、キングコングの名前が使えずジャイアントゴリラとして発売になった。

時が経ちジャイアントゴリラの復刻版が発売されたがオリジンソフビと比べると少し小さい。自分が持っている2体はソフビメーカー・M1号の西村祐次さんが塗ったサンプル品。カリスマ塗装師の見事な作品だ。

前作『ゴジラvsコング』のコングと昭和時代ゴジラと戦ったキングコングのソフビ。玩具の日米対決!(笑)
レイモンドトイの和製キングコング2種。

バンダイから前作『ゴジラvsコング』のソフビも発売されている。そして1993年『キングコング対ゴジラ』のキングコングが発売された。

これはある意味奇跡的な事で、東宝の版権担当さん次第で通過してしまう時がある。こういったタイミングはメーカーもチャンスだし買い手側の我々も大喜びである。

海外ソフビではレイモンドトイの東宝和製コング2種があるが、どちらも無版権。キングコングの版権管理している所の人が和製コングファンで正式に版権を安価でばんばん出してくれたら良いのになー。

今回の『ゴジラ×コング 新たなる帝国』も興行的に良かったみたいなので続編が作られる事を望んでいる。でも、その時はゴジラのデザインを日本のゴジラに近付けてもっとかっこよくお願いします。

なんだかんだ言ってもスクリーンでゴジラやキングコングが観られるのは嬉しい。

この喜びが末長く続いてくれる事を望んでいる。

なべやかん

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