ハンドボールでパリ五輪出場の吉野樹選手 得意技の「タツキエール」で活躍を誓う 愛知・刈谷市

パリ五輪、ハンドボール男子日本代表候補の吉野樹選手。36年ぶりとなる自力出場を決めた功労者に、濱田隼アナウンサーが直撃しました。

からあげやチャーハン、ラーメンなど、社員食堂でお昼ご飯をもりもりと食べる、とある会社員。 彼らは、愛知県刈谷市を本拠地とするハンドボールチーム「トヨタ車体ブレイヴキングス」の選手たち。 毎年日本リーグの優勝争いをする強豪チームには、パリオリンピック日本代表候補が24人中なんと7人もいます。 中でも注目は―― 今シーズン、リーグの得点ランク2位、29歳・吉野樹選手。 東京オリンピックでも活躍した、日本代表の中心選手です。

吉野選手の得意技

吉野選手が投げるのは、時速100キロ超えのシュート。 そんなシュートを止められるのか、濱田アナウンサーが挑戦しましたが―― あまりの速さに、触ることすらできません。 そこでアドバイスを求めたのは、技ありシュートが持ち味のパリオリンピック代表候補である、吉野選手の同僚・杉岡尚樹選手です。 「吉野選手が跳んだ時に右に動いて、急に左に動く」など、フェイントをかける攻略法を聞きます。 そうして最初に投げてもらった6メートルより、さらに3メートル離れた、9メートルの距離から打ってもらうことに。 ハンデをもらい再度挑戦しましたが、濱田アナウンサーは一度も止められず、撃沈でした。 遠い距離から放つミドルシュートは、実は吉野選手の得意技なんです。

シュート名は「タツキエール」

濱田アナ: 「シュートの名前はありますか?」 吉野選手: 「ないです。濱田アナにつけてもらおうと思って」 濱田アナ: 「今回体感して、ボールが消えた。消えるボールだと思ったので、たつきえーる。『樹(たつき)のボール消える』で、タツキエール。私たちのエール(応援)も込めて」 吉野選手: 「いきましょう、それで」

二刀流で頑張る吉野選手

ハンドボールで活躍する一方、普段はトヨタ車体の社員としても働いている吉野選手。 主に、仕入れ先のデータ収集を担当しています。 「しっかり自分の責任を果たして、最後までやりとげている。使命感を持ってやってくれている」(吉野選手の上司) 「活躍しているところを見ると、自分も頑張ろうと思えるし、同じ部署で一致団結して応援している」(吉野選手の同僚) 職場の一角には、二刀流で頑張る吉野選手を応援するコーナーも―― 「職場の方の手作り。今つけているマスコットも、職場の方が作ってくれた。仕事中もこれで頑張っている」(吉野選手)

心の支えは?

平日は朝8時半から午後3時まで働き、4時からは練習。 忙しい毎日を送っています。 Q. 休みはあるか 「仕事は、土日が基本的に休み。リーグ戦の試合が土曜日などにあるので、日曜日しか休めなかったり。体も心もキツイ」(吉野選手) そんなハードな日々の中、心の支えとなっているのが―― 1歳9カ月の息子・寛人くんの存在です。 オフは、寛人くんと一緒に過ごすことのできる貴重なひととき。 しかし日本代表の合宿や遠征などで、1カ月以上会えないこともあるといいます。 「会えない時は寂しくなるけど、遠征から帰ってきた時に、寛人くんは何ができるようになったんだろうという楽しみもある」(吉野選手)

我が子に会えない寂しさに耐え…

Q. 会えない間に、寛人くんはどんなことができるようになっていたか 「本当に小さい時は寝返りができていたり、伝い歩きができていたり、しゃべれるようになっていたり、体の大きさも全然違うし、そういうことがいっぱいありました」(吉野選手) 我が子に会えない寂しさにも耐え、掴んだのは日本代表36年ぶりのオリンピック自力出場。 「いろいろなものを犠牲にしたり、好きなこともできず、パリ五輪出場のために頑張ってきたので、報われて良かった瞬間」(吉野選手)

タツキエールで活躍を誓う

パリオリンピック開幕まで、あと50日。 自身2度目の大舞台で、活躍を誓います。 吉野選手: 「東京五輪では、決勝トーナメントに進出できなかったので、まずは決勝トーナメントに進出できるよう頑張る」 濱田アナ: 「タツキエールがあれば大丈夫」 吉野選手: 「タツキエールで、消える魔球を打ちたい」

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