木村拓哉『Believe』と石原さとみ『Destiny』コア視聴率大苦戦のテレ朝が“チャレンジ”した2作品の明暗

石原さとみ、木村拓哉(C)ピンズバNEWS

現在放送中の4月期ドラマも終盤に差し掛かっている。

テレビ朝日の連続ドラマでは、6月6日に木村拓哉主演(51)の『Believe-君にかける橋-』(木曜夜9時~)の第7話が放送予定で、徐々に物語の終わりが見えつつある。

6月4日には、石原さとみ(48)主演の『Destiny』(火曜夜9時~)も早くも最終回を迎えた。最終回の視聴率は世帯8.3%、個人4.7%で番組最高視聴率(関東地区/ビデオリサーチ調べ)を迎えた。

ドラマ制作会社関係者は、「『Believe』と『Destiny』には共通点があります」と話し、こう続ける。

「『Believe』と『Destiny』は、テレ朝が高いコア視聴率を獲得すべく制作した“チャレンジドラマ”だと言われています。現在のテレビ界は、CM単価に直結する13~49歳の個人視聴率である“コア視聴率”を最重要視していますからね。

テレ朝は、他の民放局と比べていまだ世帯視聴率も重く見ているところがありますが、それでもコア視聴率が重要と考えているのは間違いなさそう。バラエティ番組は露骨に若年層を意識した作りをしていて奏功していますし、ドラマでも“チャレンジ”が行なわれているといいますね。そして、4月期ドラマでは、『Believe』と『Destiny』がそうだと言われています。

逆に、現在放送中のドラマで言えば、井ノ原快彦さん(48)主演の『特捜9 season7』(18年4月期~)のようなシニア層にファンが多いシリーズものは若年層の視聴者はなかなか見てくれないので、コア層に限らず、多くの人が見てくれればいいという戦略になっているといいますね」

世帯視聴率ではテレビ朝日は好調だ。

4月1日にテレ朝は2023年度の年間平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を発表し、世帯視聴率で2年連続の3冠(全日、ゴールデン、プライム)、個人全体視聴率で2年連続の2冠(全日、プライム)を達成したと発表。

3月26日に開かれた社長定例会見で同局の篠塚浩社長は、

「昨日までの段階で、個人全体では(中略)2冠という状況だ。世帯視聴率では3冠。今日を含めて残りあと6日、最後まで全力を尽くしていきたい」

とコメントしていた。

■テレ朝は世帯が好調な半面……

前出の制作会社関係者は話す。

「長年王者であった日本テレビは首位陥落となり、今やテレビ朝日が“視聴率王”に躍り出ているような報道もありますが、日テレは数年前からコア視聴率を重視しており、さらに今年4月からは番組の評価は“コアのみ”で行なわれるようになっています。

いまだ一部報道では、世帯視聴率で判断し“良かった”“悪かった”とすることがありますが、テレ朝以外の民放局はすでに強くコア視聴率を意識しており、テレビ界からは“報道はリアルではない”という声も出ています。そして、世帯視聴率も重視するテレ朝は、主要民放キー局のなかで最もコア視聴率が低い局ですね」

4月期の重要なドラマ『Believe』と『Destiny』も、世帯は好調な一方で、コアは思うようには取れていないという。

『Believe』は主演がスター・木村拓哉であることに加えて、テレビ朝日開局65周年記念番組ということで非常に気合いを入れて制作された作品。第6話(5月30日)の視聴率は世帯9.9%、個人5.8%と高い一方で、コアは1.7%だった。

「このテレビ不況の時代、世帯視聴率がほぼ10%というのは凄いことではあります。しかし、世帯が高くてコアが非常に低いというのは、“シニア層には人気があるけど、若い層には全く刺さっていない”ということなんですよね。

木村さんは大スターですが、すでにアラフィフ。若い視聴者層が狙える俳優かと言われると違うでしょうし、『Believe』はメインキャストが竹内涼真さん(31)を除き、小日向文世さん(70)や天海祐希さん(56)など重厚感のあるベテラン揃いですから、若い視聴者が興味を持ちにくいキャスティングとも言えますよね」(前同)

■『Destiny』は『Believe』よりは好調

『Destiny』の主演である石原も、2022年4月の出産後初、3年ぶりの連ドラ復帰という点で注目を集めていたが、

「そこまで若い視聴者が石原さんを渇望していたかと言われるとさすがに違うでしょうし、お相手役もKAT-TUN・亀梨和也さん(38)だったり、主要登場人物も田中みな実さん(37)、宮澤エマさん(35)、矢本悠馬さん(33)と、安定感はあるものの若い層の人気に直結しそうなキャスティングではないですよね」(前出の制作会社関係者)

『Destiny』はシナリオの評判があまり良くなく、

《大御所のおかげで、なんとか最終回まで見れましたが。音楽負けしてる》
《ドラマを見ていて、ここまで脚本に対して毎回「?」が浮かんだり「語彙力がない」と思ったの初めてかも笑》

といった声もX(旧ツイッター)にはあるが、数字が極端に悪かったわけではない。終盤も第8話(5月28日)が世帯8.0%、個人4.5%、コア2.4%だった。

「木村さんの『Believe』に比べるとコア視聴率は取れているんですよね。ただ、大成功の数字かと言われたらそんなことはなさそうです。

ドラマをリアルタイム視聴する人は年々減っており、コア視聴率がなかなか取れないテレ朝ドラマとしては、『Destiny』の結果は“良かった”と言えるのかもしれません。同作は6月5日に見逃し配信の累計再生数が2500万回を突破したことが発表されましたが、これもテレ朝GP帯ドラマでは配信史上最高記録です。

一方の『Believe』はコア1%台を記録してしまうなど、テレ朝の開局65周年記念作品として、そして木村さんの主演作としてはあまりにも寂しい結果になっています。幸い『Believe』はまだ残り話数があるので、どこまで挽回できるかが注目でしょうね」(前同)

キムタクの終盤の追い込みはいかに――。

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