『Re:リベンジ』“海斗”赤楚衛二の“鬼の形相”に背筋が凍る “紗耶”見上愛に衝撃の展開が

欲望は、人の心に潜む最も強力な感情の一つだ。その炎に身を委ねれば、人は想像を超える高みへと導かれることもある。しかし、同時に欲望は諸刃の剣でもある。制御できなくなった欲望は、人を深い闇へと引きずり込み、破滅の道へと誘ってしまうのだ。

木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)第9話は、まさにその欲望の恐ろしさを浮き彫りにする展開となった。海斗(赤楚衛二)の欲望は、回を重ねるごとに加速し、もはや彼自身でも制御できないほどの勢いを持つに至ってしまった。

海斗は、美咲(白山乃愛)の医療過誤疑惑を隠蔽したことについて、郁弥(錦戸亮)から厳しい追及を受けていた。証拠を突きつけられながらも、海斗は冷静を装い、「証拠は本物ではない」と言い張るのだった。

またこの疑惑について窮地に立たされてる人物がもう一人。海斗に口止めされている医師の若林(橋本淳)は、真実を知りながら沈黙を強いられる状況に、強い葛藤を抱えていた。このまま隠蔽に加担していいのだろうかという思いが彼の心を揺さぶっていた。

会長である天堂皇一郎(笹野高史)から、若林への対処を慎重に行うよう念を押された海斗は、若林を会食に誘う。料亭に赴いた若林を驚かせたのは、そこで待ち構えていた彼の両親の姿だった。海斗は両親に、「私は是非、若林先生にお願いしたいんです」と若林を次期センター次長に推薦したいと伝える。予想外の展開に戸惑いながらも、素直に喜ぶ両親の姿を見て、若林は複雑な心境で言葉を失っていた。家族の幸せを守るためには、この選択が最善だと自分に言い聞かせるように。さらに海斗は若林の実家に贈り物を送ったりと、過剰なまでに彼に踏み込むのだった。

一方、海斗は出版社時代の後輩・木下紗耶(見上愛)へ口封じをするかのように、彼女と体の関係を持つ。紗耶は海斗への好意と、タレコミについて完全に彼を信じきれない気持ちの間で揺れ動いていた。「本当に信じていいんですよね?」という沙耶の言葉には、切ない感情がにじむ。そんな中、海斗のスマホに元恋人・朝比奈陽月(芳根京子)から「明日会えないかな」とメッセージが届く。それを見た紗耶は、「明日映画に行きませんか?」と海斗を誘うが、海斗は「他の病院の先生をアテンドしないといけない」と嘘をついてその誘いを断るのだった。

「自分にできることを精一杯やろう」と前を向こうとする陽月だが、美咲がいない日々のつらさを海斗に語る。海斗は陽月の心の痛みを察し、優しく彼女を抱きしめる。とはいえ、今の海斗に陽月を抱きしめる資格があるのかは甚だ疑問であるのだが……。

そんな矢先、海斗は郁弥に呼び出される。沙耶の好意を利用したことを見透かされていた海斗は、「使えるものは使う。この病院を守るために必要なことだ」と冷酷に断言。ドアの向こうにいたのは、信頼していた海斗の言葉を聞いてしまった沙耶だった。

紗耶の「先輩、変わりましたね」という失望と怒りが込められた言葉は、第1話から海斗を見守ってきた視聴者の感情を代弁していたのではないか。さらに沙耶は陽月を訪ね、美咲が医療過誤で亡くなった真実を伝える。さらに若林ともコンタクトを取り、証拠のレントゲン写真を持っていることを明かす。

第9話では、完全に闇の世界に堕ちてしまった海斗の姿が、視聴者の脳裏に強烈に焼き付く展開となった。毎話象徴的に登場する理事長の椅子に座った海斗は、まるで地獄の王座に君臨する魔王のように、憤怒に身を震わせていた。その目には、ただただ自らの欲望と野望を達成するためなら、手段を選ばないという強い意志が宿っていた。

険しく歪んだ眉間、血走った目、そして荒い呼吸。“鬼の形相”という言葉がぴったり合うような狂気に満ちた表情は、まるで人間性を失ってしまったかのようで、視聴者は思わず背筋が凍るような恐怖を感じずにはいられなかった。

赤楚衛二が演じる海斗は、回を重ねるごとにその狂気と悪意を増していく。赤楚の迫真の演技によって、闇に堕ちていく海斗の姿が生々しく描かれ、ドラマの緊張感は最高潮に達している。スカッとするような気持ちの良い展開でないにもかかわらず、目が離せなくなる臨場感に、視聴者は息を呑むばかりだ。

海斗がこれまでに引き起こした数々の悲劇を考えると、彼が償いを果たすことができるのか、疑問を抱かざるを得ない。第9話では、沙耶が大怪我を負う最悪の展開となってしまったが、彼女にはなんとか一命を取り留めていてほしいところだ。海斗の行動が周囲にもたらした傷は、あまりにも深く、癒えることのないものばかり。彼は自らの罪と向き合い、真の贖罪の道を歩むことができるのだろうか。海斗の運命は、彼自身の選択にかかっている。

(文=すなくじら)

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