[社説]県議選きょう告示 沖縄の未来示す論戦を

 県議会議員選挙がきょう告示され、16日の投開票に向けて9日間の選挙戦がスタートする。

 最大の焦点は、玉城デニー知事を支える県政与党が過半数を獲得できるかだ。

 2期目の任期折り返しを迎える玉城県政の「中間評価」とも位置付けられ、今後の県政運営を大きく左右する。

 県議会は現在、与党24議席に対し、採決に加わらない議長を除く野党・中立が23議席で、拮抗(きっこう)している。6日時点で13選挙区の計48議席に75人が立候補を表明している。

 与党が過半数を制すれば、玉城知事の求心力は維持される。野党・中立が多数になれば予算や人事で制約され、公約実現にも影響が出るだろう。

 選挙戦本番を迎え、各選対の動きは本格化するが、有権者の関心を高めるためには沖縄全体、そして地域が抱えるさまざまな課題に対して、候補者がどれだけ政策を具体的に示すのかが問われる。有権者の選択につながる活発な論戦を期待したい。 

 県議選の争点は、足元の暮らしから経済、福祉、教育、安全保障まで多岐にわたる。

 新型コロナウイルスの収束で経済は回復傾向にあるが、物価の高騰に賃金の上昇は追いついていない。

 食品などの日用品、電気、ガス、交通機関の運賃などあらゆるものが値上がりし家計を直撃している。

 「子どもの貧困」問題も続いている。学校給食の無償化や教員不足の解消など教育環境の整備も重要な課題である。行政と知恵を出し合い、解決へ向けた議論が望まれる。

 経済振興や防災対策、離島活性化など各選挙区の暮らしに密着した独自の課題にも具体的な政策を示してほしい。

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 「新しい戦前」という言葉が語られるように、この4年間の大きな変化はこの地域の「軍事化」「要塞(ようさい)化」である。

 先島諸島を中心に、駐屯地の新設やミサイル部隊配備など自衛隊の増強が加速度的に進んでいる。うるま市の陸自訓練場新設を巡る問題は、住民の反対を受けて国は断念したが、代替地の検討は続けられている。

 名護市辺野古の新基地建設を巡って、国は代執行で工事を強行している。大浦湾の軟弱地盤の改良は難航が見込まれ、完成は「早くても2037年」とされる。その間の普天間飛行場の危険性除去をどう進めるのか。

 来年の戦後80年に向けて、沖縄の負担軽減に議論を戦わせてほしい。

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 知名度の高い国会議員や身近な市町村議員選と比べて、県議選の立候補者と有権者との接点は「薄い」とされる。

 前回県議選はコロナと悪天候の影響で、投票率は5割を切り過去最低となった。

 政治家にとって大切なのは社会をこうしたいと訴える言葉の力と実現する行動力である。

 本紙では立候補者の主要公約・政策を紙面のほか、本人のスピーチをホームページ「タイムス+プラス」でも告示後の7日夜から配信する。

 選挙公報などと併せて、政策の比較や検証に役立ててほしい。

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