大成建設/技能者確保へ協力会社組織と連携強化、企業説明会の出展費用を一部負担

建設業界の最重要課題である技能者確保に向け、大成建設が同社協力会社組織「倉友会」と一体となった入職促進策を強化している。高校生の就職を支援するジンジブ(大阪市中央区、佐々木満秀代表取締役)が主催する合同企業説明会で、倉友会会員企業に対し出展費用の一部を負担する。従来の学校訪問には大成建設の社員も同行し、大手の知名度を生かした理解促進に努める。新たな担い手として任期制自衛官や外国人材の入職もより強力に働き掛けていく。
倉友会の会員数は約700社(複数の支店倉友会に重複加入している会員も含む)。全体的に新卒採用状況は一段と厳しくなっており、ここ2、3年は採用予定人数を確保できず新入社員が入社していない会員も目立つ。大成建設は「協力会社の担い手をしっかり確保していかないと、われわれの仕事も成り立たなくなるかもしれない」(安全本部労務部)と危機感を強めており、倉友会との連携をさらに強化している。
新卒者の入職促進策で優先する対象が高校生。同社は生徒や保護者、進路指導担当の教員を対象にした合同企業説明会を各地で開いているジンジブと契約。特別に倉友会が費用の一部を負担し、会員限定の割引価格で出展を支援している。2023年6月から出展する会員が毎回1、2社程度出ており、24年5月に横浜で開いた初の会員限定説明会には8社が参加した。ジンジブによると、協力会社組織単位で出展を後押ししている唯一の事例という。
以前から行っている会員の学校訪問も新たな対策に乗りだした。24年から大成建設の社員も一部会員の学校訪問に同行。大手の知名度を生かし同社の協力会社ということを知ってもらった上で、建設業の詳細な仕事内容や雇用環境、やりがいなどを理解してもらう。
厚生労働省の調査(23年9月末時点)によると、24年3月卒の高校生新卒採用の求人倍率は3・79倍とバブル期を超える売り手市場になっている。雇用側から見ると、少子高齢化の影響で高校生ら若年層の取り合いが産業間や企業間で厳しさを増している。
同社と倉友会は高校生の入職促進策を優先する一方で、高校生だけでは将来にわたる担い手を十分確保するのは難しいと考える。そのため並行して任期制自衛官や外国人材のさらなる入職策にも注力。同社によると、任期制自衛官向けの企業説明会はその場をきっかけに採用が内定するケースが多く、出展するのも難しいという。
同社と倉友会が一体になって関係機関への働き掛けを強めるなどして、新たな担い手確保もあの手この手で後押ししていく。

© 日刊建設工業新聞社