出口亜梨沙「怖い映画はなかなか観られないけれど、気になる人には、ちょうどいい怖さです」映画『THIS MAN』

By GetNavi web編集部

“世界各地で人々の夢に現れた謎の男”として2006年頃から世界的に話題を集めたインターネットミーム「This Man」。それに日本独自の解釈と社会風刺を加えて映画化したパニックスリラー『THIS MAN』が6月7日(金)より公開。本作でヒロイン・華を演じる出口亜梨沙さんが初の母親役に挑んだ思いを語ってくれました。

出口亜梨沙●でぐち・ありさ…1992年9月18日生まれ。大阪府出身。テレビ情報番組でのリポーターとして活動を開始し、2017年よりグラビアアイドルとしても活動を開始。それに合わせて、女優としてもドラマ、映画、舞台で活動。近年の主な出演作として映画『スーパー戦闘 純烈ジャー』(2021)、『甘い夏』(2022)、『シモキタブレイザー』(2024)、ドラマ「だから殺せなかった」(2022/WOWOW)、「キス×kiss×キス~メルティングナイト~」(2022/テレビ東京)、「ブラックポストマン」(2022/テレビ東京)など。Instagram

【出口亜梨沙さん撮り下ろし写真】

撮影に入るまでは、実感が湧かなかった初主演

──今回、出演オファーが来たときの感想は?

出口 「ついに、怖いホラー系の作品か来たか!」と思いました(笑)。私、本当にホラー映画を観るのが苦手なんです。友だちと遊園地に行っても、お化け屋敷は我慢して渋々入れるのですが、ジェットコースターはガチでけんかしてしまうぐらい怖いものが苦手なんです。ホラー映画も苦手で、一緒に観ようと誘われても断ってきたので、そんな私が出演なんて! という気持ちでした。

──初主演映画ということに関しては?

出口 台本を読んだときに、ある程度のことは分かっていたのですが、撮影に入るまでは、あまり実感が湧かなかったこともあり、「主演だから頑張ろう!」というプレッシャーもありませんでした。それで撮影が進んでいくうちに、出演シーンが多い、出番が多かったことで、改めて主演ということに気付かされた感じです。

──夫役としてW主演を務めた木ノ本嶺浩さんと二人三脚で乗り切った感じですか?

出口 撮影入る前に、木ノ本さんと天野監督と3人で、すごく話し合いをしたので、三人四脚でしたね(笑)。台本読みの時間のときに、そこで3人で擦り合わせていく作業をしました。私たちから「このセリフ、おかしくないですか?」「ここのシーン、こうしたら見え方変わりませんか?」と意見を言って、天野監督も「ここは変更しましょう」「いや、ここは変えたくないです」という感じで、私たちの意見が採用されるものと、採用されないものがハッキリしていました。

──今回演じられた華は、一児の母という設定でもあります。

出口 私はまだ結婚していませんし、子どももいないので、いろいろ分からないことだらけだったのですが、クランクイン前、昨年3月に妹に子どもが生まれたんです。それで実家に帰って、初めて抱っこしたときに、生まれたときから知る妹が出産したことに感動して、涙が込み上げてきちゃって! だから、自分に子供が生まれたら、もっと思いが強まるはず……という気持ちで、華を演じました。

幸せなシーンが幸せであるほど、不幸に見舞われるシーンが際立つ

──娘役の子役さんとはどういうコミュニケーションをされましたか?

出口 最初は「お母さん大好き!」みたいな感じで、現場でも私にはあんまり心を開いてくれなかったんですが、空き時間に木ノ本さんと3人で話す時間を作って、話しかけていくうちに、現場に持ってきたおもちゃを見せてくれたり、私がトイレに行こうとしたら「どこ行くの? 一緒に行く!」みたいな感じで付いてきてくれたんです。最終的に仲良くなれて、ホッとしました。

──華のキャラクターをどのように捉え、演じようと思いましたか?

出口 最初の印象は、ふわふわした少女の部分が抜けきれず、そこまでハッキリ自分を持っていないイメージでした。ですが、いろいろな出来事が重なっていき、自分の家族も巻き込まれていくことで、自己犠牲もいとわない強い女性に変わっていく。そういった軸を大切にして演じようと思いました。天野監督から言われたのは、「幸せなシーンが幸せであればあるほど、後に不幸に見舞われるシーンが際立つ」ということ。だから、シリアスなシーンやしんどいシーンの芝居よりも、家族3人がそろった幸せなシーンの芝居について深く考えました。

──撮影時のエピソードですが、やはり気になるのが二度の呪術によるお祓いシーンです。

出口 楽しい現場で、「あの男」役の大山(大)さんが実は撮影現場のムードメイカーだったんです。また最初のお祓いでは、私の顔に般若心経を耳なし芳一のように写経しているんですが、書道の達人でもあるメイクさんに実際書いてもらいました。2時間ぐらいかかっているんですが、自分のiPhoneでタイムラプスも撮っているんですよ。しかも、アイライナーで書かれているので、なかなか落ちませんでした(笑)。2度目のお祓いはクランクアップの撮影だったので、さらに気持ちが引き締まり、「OK」が出た後はいろんな意味で清々しい気持ちになりました。

──夫を演じた木ノ本さん、妹を演じた鈴木美羽さんとの共演はいかがでしたか?

出口 木ノ本さんはひたすら優しくて、支えになってくれるし、細かな気遣いもされる方なので「実際も、こういう旦那さんなんだろうな」と思いましたね。鈴木さんはとても人懐っこくて、一緒の撮影のときや空き時間に、すごい一生懸命しゃべってくれるんです。「こんなかわいいのに、中身もかわいいのか!」と驚きました(笑)。映画の中でも鈴木さんがずっとしゃべっているので、お姉ちゃんの優しさじゃないけれど、「そっかそっか」みたいな感じで接しているシーンになりました。実際の私は……妹がしっかりしているので、あまりお姉ちゃんぽくないですね(笑)。

他人軸で生きてきたヒロインが自分軸になる瞬間に注目!

──完成した作品を観たときの感想は?

出口 鮮やかな花の色や、画がとてもきれいで、「こんな美しい映像になるんだ」と驚きました。怖さに関しては、内容を知りすぎたぶん、分からなくなっちゃったんです。だから、友だちに「映画観に行きたいけど、怖いよね?」と聞かれても困惑していたんですが、今日の取材でインタビュアーの方に「怖かったです」と言われて、「良かったぁ」と思っています。でも、怖い映画はなかなか観られないけれど、気になるという人には、ちょうどいい怖さだと思いますね。

──出口さんの個人的な見どころは?

出口 ただのホラーやスリラーじゃない。ただの怖い映画じゃないというか、しっかり人間ドラマが描かれているので、そこに注目しつつ、「自分はこの人に当てはまるかも?」と思って観ることにより、日常をちょっと変えるきっかけ、自分が納得する生き方を考えるきっかけになればいいなと思います。他人軸で生きてきた華が、自分軸になる瞬間も観てほしいです。

──現場によく持って行くモノやアイテムについて教えてください、

出口 「今日、こういう仕事ありました」とSNS用の写真を撮るときのために、自撮り棒は必ず持ち歩いています。「写真撮ってください」と言えないとき、Bluetoothに繋げば、リモコンで撮れるんですが、実はそこまで使っていないかもしれません。でも、『THIS MAN』のロケ先では、みんなで集合写真撮りしました。

──ちなみに、出口さんはハマっているものは?

出口 何かを集めるといったコレクター癖が本当になくて、その代わり、断捨離がめちゃくちゃ好きなんですよ! すぐに捨てちゃうので、家の中もそんなに物が多くないです。上京する少し前に、「わたしのウチには、なんにもない。」というエッセイを読んで「捨てるかどうか一回悩んだ服は、その後も着ることはない」と気づいたんです。それ以来4か月に1度、季節が変わるタイミングで服を断捨離しているんですが、そのとき一緒に、ほかの物も断捨離しちゃうんです。やっぱり、何か手放さないと運気も入ってこないと思うんですよ。いつかバラエティ番組とかで、他人の家の断捨離をお手伝いするような企画をやってみたいですね!

THIS MAN

6月7日(金)より公開

(STAFF&CAST)
監督・脚本:天野友二朗

出演:出口亜梨沙、木ノ本嶺浩、鈴木美羽、小原徳子、茜屋日海夏、校條拳太朗、大山大、般若、アキラ100%、中山功太、津田寛治、渡辺哲

(ストーリー)
とある田舎町で連続変死事件が発生。被害者は全員、眉のつながった奇妙な風貌の男を夢の中で見ていたという。夢に出てくる男は「あの男」と呼ばれ、人々を恐怖に陥れていた。「あの男」の被害が拡大していくなか、夫の義男(木ノ本嶺浩)や娘の愛と幸せに暮らしていた女性・華(出口亜梨沙)の身にも危険が迫る。やがて華は、究極の選択を突きつけられる。

公式サイト:https://thisman-movie.com/

撮影/河野優太 取材・文/くれい響 ヘアメイク/池田眞美子

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