人口減少に悩む沖縄・南大東島 移住者の受け入れへ公営住宅を起工 1LDKを4戸 「移住婚」支援とセットで推進

地鎮祭で定住促進住宅工事の安全を祈る南大東村の新垣利治村長(中央)ら=5月15日、同村池之沢(同村提供)

 沖縄県南大東村(新垣利治村長)は5月15日、移住者用の定住促進住宅4戸を建設する工事の地鎮祭を同村池之沢で行った。新垣村長や工事関係者など約20人が参加して工事の安全を祈った。間取りは1LDKで、夏ごろ完成予定。村が移住者用の住宅を整備するのは初めて。村は、住宅を整備することで、移住者の定住につなげたい考えだ。(南部報道部・国吉聡志)

 同村を含む小規模離島の多くで現在人口減少が進んでおり、移住者の受け入れが課題となっている。

 同村では1980年の1640人をピークに人口が減少し、今年4月末時点で1204人まで減っている。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は2035年に1088人、50年に953人まで減少すると予想する。

 南大東は沖縄本島から約360キロ離れており、他の離島と比べて建築コストが高い。村によると「鉄筋コンクリートで建てた場合、本島の3倍近くの費用がかかる」。民間の賃貸アパートもないため、村は、行政が移住者向けの公営住宅を整備する必要があると強調する。

 事業費は計約1億1千万円で、一括交付金を利用する。

 村は島への移住を希望する女性と島内に住む男性の結婚を支援する「移住婚」事業も始めており、移住者を積極的に受け入れ、定住につなげたい考えだ。

 新垣村長は「南大東村がこれまで移住者を積極的に受け入れてこなかったのは住宅を確保できなかったから」と説明。「これ以上人材がいなくなると、今住む人たちの生活もおぼつかなくなる」と語る。

 その上で「移住者の受け入れは人口減少問題の打開策の一つ。島の生活に興味がある人を1人でも多く受け入れたい」と語った。

 入居対象者や条件は今後調整する。定住促進住宅への問い合わせは南大東村土木課住宅相談係、電話098(022)2038。

© 株式会社沖縄タイムス社