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昨秋、尾道高(広島県尾道市)ナインのイメチェンが、広島県の高校球界を驚かせた。2022年夏の広島大会で準優勝するなど県内有数の実力校が丸刈りの強制をやめた。
「日本高野連に加盟する約4千校中、千校だけか」。北須賀俊彰監督(54)は昨夏、日本高野連が発表した調査結果に時代の変化を感じた。部員の頭髪について丸刈りと答えた学校は26・4%。春夏通算7度の全国制覇を誇る広島商高(広島市中区)OBで、自身も甲子園に出場した。当たり前と思ってきた丸刈りへの疑問が大きくなった。
昨秋の新チームのスタートに合わせ、髪形を自由にした。ミスや生活態度が悪いからと罰則や反省で丸刈りにするのも禁じた。富島海翔主将(17)は「せっかくならと全員が伸ばしたけど、丸刈りに戻せなくなった」と笑う。昨秋と今春はともに県大会3位。「『髪を伸ばしたから成績が下がった』と周りから言われたくなかった」
選手の要望で髪形を自由にした学校もある。春の県大会で8強入りした広島国際学院高(広島県海田町)もその一つ。寮はなく部員は自宅通学。「丸刈りで野球部と分かるのが嫌」という声があった。長延公平監督(56)自身、近隣の中学校へ行くと、丸刈りが嫌で野球をやめる生徒の話を聞いていた。
サッカー部は昨夏のインターハイで初の切符を手にし、冬の全国高校選手権にも出場。注目度は高まっていた。長延監督は「髪形で野球人口が減るのは残念な気持ちだった。選手から言ってきたら、自由にしようと考えていた」。昨秋、選手の提案を受け入れた。
2022年の中国新聞の調査では、広島県高野連加盟校のうち45%に当たる37校が丸刈りだった。多様性の尊重が進む時代。広島でも変化が起きている。