22歳の“逆輸入”プレーヤー・山脇健斗 日本来日後は8kg減…「大変でした」

超名門大学を中退し、日本でプレーを決めた山脇健斗(撮影:鈴木祥)

<BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 初日◇6日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース (茨城県)◇7430ヤード・パー71>

「日本語頑張ります(笑)」。そう切り出したのは、米カリフォルニア州サンディエゴ出身の22歳・山脇健斗だ。5バーディ・1ボギーの「66」をマークし、4アンダー・4位タイで初日を終えた。

山脇はいわゆる“逆輸入”プレーヤー。海外でゴルフを始め、2019年には「全米ジュニア」でベスト16、同年の「オーストラリアンオープン」にも出場するなど活躍を見せた。大学は、超名門・カリフォルニア大学バークレー校に進学し、予選通過とはならなかったが21年には「全米アマチュアゴルフ選手権」に出ている。

ゴルフに集中するために大学は中退を決断。「バークレーって勉強がすごく大変で、勉強とゴルフのバランスがうまくできてなくて、トランスファー(編入)しようかなっていうのをずっと考えていて」と文武両道に苦戦し、最終的に両親と相談して「サポートするから何してもいいよ。頑張るんだったら」という言葉をもらった。そして「ゴルフしたいです」と言いゴルフ一本の道に進んだ。

去年の5月に、日本に来日し国内男子ツアー「ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント」に出場した。日本で戦うと決めた理由は「去年のカナダ出たときに、けっこう苦戦して、コンフェリーのステータスが取れたとしても落としちゃうなって。日本は環境もすごくいいし、試合のレベルも高い。日本なら良いゴルフをしたらやっていけるなと感じた」と祖父の自宅がある千葉へ拠点を変更した。

来日してからは体調面で苦しんだ。「日本に来てから何回もくずしてしまって」と、もともと73kgあった体重が一時は「65kgを切るぐらい」まで落ちてしまった。環境の変化など「合わなかったのかな…」と原因は明確ではないようだ。そのときは「ゴルフ大変でしたね。なんか変に力んでしまって」と体の変化がある前は「めちゃくちゃ飛んでいた」と平均300ヤードを超えるドライバーショットをしていたが、飛距離は一気に落ちてしまった。

「急に(飛距離が)落ちてしまうと、昔みたいに距離を出したいとなって変に力んでしまいましたね」とスイングに影響が出る。もとの飛距離に近づくためにも、少しずつ増量を進め、現在は69kgほどまでに。「スイングもやっと安定してきて」と、これまで取り組んできたことが、今回のラウンドの結果につながったようだ。

「日本でレベルアップ」することが山脇のビジョン。それは「今後海外にまた挑戦したい」という目標から。「まずはこっちで経験を積んでいます」と昨年挑んだQTではファイナルまでコマを進めて27位フィニッシュ。今年は国内下部のABEMAツアーを主戦場にし、レギュラーツアーは今大会で今季3試合目となる。

下部ツアーでは今年4試合に出場し「出だしが手こずって」とすべて予選落ち。原因は自身の特長とも言える「攻めのゴルフ」だった。「それでけっこう今年は苦しんでいたので、何人かのプロと話して、マネージメントの相談をして」とアドバイスをもらったという。

そして挑んだこの日は、「ショットは特にめちゃくちゃ良いというのはなかったんですけど、コースマネージメントとパターで頑張りました」とスコアメイクを徹底。「コースが難しいので、グリーンセンター(狙い)で短いチャンスがあるようなところでも真ん中を狙って、寄ったら拾っていきました」と戦略を立てて、最後まで守りきったことが好発進につながった。

これまでの“攻め”のスタイルから“守り”に変更し、早速成果を出している。良い位置で決勝ラウンドを迎えるためにも、新しいスタイルを2日目も継続していく。(文・高木彩音)

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