ドジャースvsヤンキースの直接対決! 勝負の鍵を握る大谷翔平とジャッジの2大スター

シーズン前に大谷翔平選手、山本由伸投手を始めとした前代未聞の超大型補強を遂行し、ワールドシリーズ優勝の最有力候補となったロサンゼルス・ドジャース。

それに対し、獲得が期待されていた山本投手こそ逃してしまったものの、球界屈指の大砲フアン・ソトをトレードで獲得し、アメリカン・リーグの優勝候補筆頭であるニューヨーク・ヤンキース。

ドジャースを引っ張るのは、野球史上最高の選手になりつつある大谷翔平選手。ヤンキースは現役最強のパワーヒッター、そしてニューヨークの顔とも言えるアーロン・ジャッジ選手。

今やMLBで最もスター性の高い2選手が、MLB内でも屈指のブランド力を有する2チームにそれぞれ所属しています。

この二大勢力が、6月8日〜10日の3日間にかけて、ヤンキー・スタジアムでワールドシリーズのプレビューにもなり得る激戦を繰り広げる見込みです。

今回は、今シーズン最も注目されるであろうカードについて解説をしたいと思います。

大谷翔平がドジャース打線を引っ張る

ドジャースは、本記事執筆時点(2024年6月2日)で37勝23敗でナ・リーグ西地区首位、ナ・リーグ全体でも勝率2位(1位はフィラデルフィア・フィリーズ)と順風満帆な成績を残しています。

攻撃面では大谷選手が打率.326、14本塁打、OPS .999と期待通り打線全体を引っ張っています。

▲ドジャース打線をけん引する大谷翔平 写真:ZUMA Press / アフロ

シーズン開始直前に急きょ、ショートへとポジション変更になったムーキー・ベッツ選手もOPS .918、一塁手フレディ・フリーマン選手、捕手ウィル・スミス選手、外野手テオスカー・ヘルナンデス選手らがOPS .800台、と打線全体が躍動。チーム全体のOPSは両リーグ2位の.765、全体平均より16%ほど高い成績を残せています。

投球面では、新加入エースのタイラー・グラスノー投手(防御率3.04、WHIP 0.91)を中心に、山本由伸投手(同3.32、1.12)やギャビン・ストーン投手、ジェームス・パクストン投手ら先発陣や、クローザーのエヴァン・フィリップス投手(防御率0.61、9セーブ)が順調に貢献。チーム全体で両リーグ3位の防御率3.28、全体平均より約22%も良い成績を残せています。

打撃・投球に加えて、守備走塁を含めたチーム全体の勝利貢献を表すWAR(Wins Above Replacement)によると、Baseball Reference社計測(以後rWAR)では両リーグ2位の19.9勝、Fangraphs社計測(以後fWAR)では両リーグ3位19.7勝、と総合力でトップレベルを誇っていると言えるでしょう。

投手力が際立つヤンキース

対するヤンキースは現在41勝19敗、ア・リーグ全体で勝率1位とドジャース同様に好調が続いています。

打線はOPSが両リーグ1位の.769を記録しており、ドジャースとほぼ同様の打撃成績を残しています。

キャプテンのアーロン・ジャッジ選手が5月に入り大暴れをし、現在、両リーグトップの21本塁打、OPS 1.067と無双状態が続いているほか、新加入のフアン・ソト選手も15本塁打、OPS 1.002と引けを取らない成績を記録しており、メジャーで最も怖い2・3番となっています。

2年目の若さで1番打者として辛抱強く起用されているアンソニー・ボルピ選手も、両名の前にしっかり出塁できているのも大きいです。

強打のライナーホームランでもお馴染み、ジャンカルロ・スタントン選手も数年ぶりに復活を果たしているなど、打線が例年より上手につながっている印象があります。

投手陣は、エースのゲリット・コール投手が、いまだ怪我離脱中であるのに関わらず、大ブレイク中の代役ルイス・ヒル投手(防御率1.99、両リーグ5位)を筆頭に、ネスター・コルテス投手、カルロス・ロドン投手、マーカス・ストローマン投手、クラーク・シュミット投手ら、先発投手陣が全員同程度に安定的な投球をできています。

中継ぎ層はクローザーのクレー・ホームズ投手(1.42、16セーブ)以外は薄いものの、投手陣全体で防御率が2.74、とリーグ平均より46%も良い成績と圧倒的な結果を残しています。

OPS・防御率共にリーグ1位であるうえ、総合WARでもrWARで両リーグトップの22.9勝、fWARでは両リーグ2位の20勝、現時点では最も結果を残しているチームと言えるでしょう(もちろん、純粋な結果で言えば最多勝のフィリーズがトップですが)。

しかし、投手の総合力ではヤンキースが勝るものの、野手成績は同等程度と言えるので、どちらかに軍配があがるといった差ではないでしょう。確実に言えることは、レベルの高い戦いになるということです。

Kzillaが3戦の行く末を予想!

【6月8日】

ヤンキース先発:コディ・ポティート(防御率 2.45、WHIP 0.91)
ドジャース先発:山本由伸(防御率3.32、WHIP 1.12)

ヤンキースの先発は、緊急昇格後、2試合目となるポディート投手と予想。シンカーとチェンジアップを主体とし、投球自体は圧倒的とは言えないものの、自慢の制球力で三振・凡打を誘う器用なピッチャー。

メジャー実績は少ないため、強敵ドジャースに対して通用するか要注目(対右投手が特に良い、ベッツ・大谷・フリーマンのビッグ3との対決が鍵を握るかもしれません)。

対するドジャースは山本投手。日本時代のように圧倒的とまではいかないものの、1年目にしては十分通用していると言えるでしょう。

しかし、今試合の最大の関門として想定されるのが、投球のクオリティではなく、現地ヤンキースファンからの凄まじいヤジとブーイング。

ヤンキースからの3億ドルの契約提示を蹴って、ドジャース入りを果たしたことが大々的に報道されたこともあり、敵陣には容赦ないヤンキーススタジアムでの洗練に耐えられるかが注目です(これまで日本シリーズやWBCといった大舞台で、しっかり結果を残してきた山本投手は動じない、と筆者は個人的に思いますが……)。

【6月9日】

ヤンキース先発:ネスター・コルテス投手(防御率3.30、WHIP 1.06)
ドジャース先発: ギャビン・ストーン投手(防御率3.16、WHIP 1.19)

ヤンキースの先発は今季最多投球回数を投げている、技あり投球法のコルテス投手と予想。

数年前には、大谷選手との対決で超ゆっくりワインドアップで思わず笑わせてしまったことが話題になりましたが、見た目に反して(?)紛れもなくエース級の選手です。

特に本拠地ヤンキー・スタジアムを得意とするため、今試合も好投が期待されるでしょう。前日とは反面、ドジャースビッグ3が比較的苦手とする左投手のコルテスをしっかり攻略できるかがポイントになりそうです。

対してドジャースは、同じくルーキーのストーン投手。ストーンと落ちる(本当にごめんなさい)宝刀・チェンジアップにストレート、シンカーを中心に好ピッチングを続けています。現状、大きい欠点が見当たらないストーンをヤンキースが攻略できるか。

【6月10日】

ヤンキース先発:ルイス・ヒル(防御率1.99、WHIP 0.95)
ドジャース先発:タイラー・グラスノー(防御率3.04、WHIP 0.91)

3連戦最後のヤンキースの先発は、今季大ブレイク中のルーキー・ヒル投手でくるのはないでしょうか。

豪速球・ストレートを主体に、右に落ちるチェンジアップ、左に曲がるスライダーを展開して打者を圧倒し、被打率が両リーグ圧倒的1位の.135、三振率もリーグ5位、とにかく打たれません。

マイナー時代から制球難には悩まされたものの、今季はメカニックス調整により致命的にはならないレベルまで改善しており、ブレイクの最大の要因と言えるかもしれません。

対するドジャースの先発は、エースのグラスノー投手。

奇しくもヒル投手と同じ3球ピッチャーで、豪速球のストレート、スライダー、そしてチェンジアップに代わってカーブを取り入れています。

ヒルと違い制球は問題ないので、隙はより少ないと言ったところでしょうか。3戦のなかでは最も投手戦の接戦になりそうな気がします。

近年稀に見る激戦となること必至!

史上初のDH専でのMVPも現実味をおびてきたナ・リーグの大谷選手と、自身の持つア・リーグシーズン本塁打記録をまたもや塗り替えそうであるMVP筆頭候補のアーロン・ジャッジ選手。

その横で同様にMVP候補となっているベッツ選手とソト選手。サポートキャストには贅沢すぎるフリーマン選手、スミス選手、スタントン選手、ボルピ選手……そのほか野手陣。

東西の新エースを務めるグラスノー投手とヒル投手、崩せない鉄壁クローザーとなるフィリップス投手とホームズ投手。

日本時間では朝の8時ごろから始まる、近年稀に見る豪華スターがぶつかり合う激戦、どうぞお見逃しなく。

© 株式会社ワニブックス