立山黒部アルペンルートを走る「日本最後のトロリーバス」 11月の引退を前に記念イベント 子どもたちが駅員体験

立山黒部アルペンルートの立山トンネルを走る、日本最後の「トロリーバス」。アルペンルートの今シーズンが終わる2024年11月末での引退が決まっているが、それを前に、子どもたちに思い出をつくってもらおうと記念イベントが開かれた。

小学生が駅員の仕事に挑戦

雪解けが進む、初夏の立山。6月1日、立山トンネルトロリーバスの室堂駅では「出発進行!」の掛け声ともに、小さな駅員さんたちがトロリーバスを見送った。

この日行われたのは、バスを運行する立山黒部貫光が企画したトロリーバスの駅員体験イベントだ。富山や長野から参加した小学生4人が、室堂駅で乗客の出迎えや乗車券の確認など、駅員の仕事に挑戦した。

立山トンネルの室堂と大観峰を結ぶトロリーバスは、今では日本でここにしかない乗り物だ。見た目はバスだが実は電車の仲間で、架線から電力の供給を受けて走る。

トロリーバスは1996年に、それまでのディーゼルバスに代わって環境保護のため導入され、以来28年走り続けてきた。しかし、部品を調達するのが難しくなってきたため、来シーズンからは蓄電池で走る電気バスに置き換わることになっている。

子どもたちは、点検作業を行うピットへ。点検ピットの担当者が「ちょっと緊張気味?」と声をかけるが、運転席にも座って大型バス用のハンドルや電車のようなメーターを前に運転士気分だ。

アルペンルートの玄関口である富山・立山町から参加した小学生の保護者は、「子どもが乗り物が好きなので、一度乗せてあげたいと、貴重な経験だなと思ってきました」と笑顔で話していた。

そして制服姿の子どもたちは、「ありがとうございました!」と元気よく乗客を見送った。

2024年11月末、トロリーバスは、立山黒部アルペンルートの今シーズン終了とともにその運行の歴史に幕を閉じる。立山黒部貫光では、今後バックヤードツアーなどのイベントも行い、ラストイヤーを盛り立てていくことにしている。

(富山テレビ)

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