カツオケンケン漁好調 「近年で最も多い」和歌山県紀南地方の主要3漁港

周参見漁港の市場に並ぶカツオ(和歌山県すさみ町周参見で)

 カツオ漁が盛んな和歌山県紀南地方の主要3漁港(田辺、周参見、串本)で、ケンケン漁(ひき縄漁)が好調だ。県水産試験場(串本町)によると、今年の水揚げ量は5月までの5カ月間で計896.6トンとなっており、すでに昨年1年間(513.8トン)を大きく上回っている。試験場は「近年で最も多い」と話している。

 ケンケン漁は、疑似餌でカツオなどを釣る紀南で発展した伝統のひき縄漁。釣り上げられたカツオは鮮度が高く人気があり、ブランド化されている。

 試験場によると、今年の水揚げ量が増えている理由は、黒潮から枝分かれした暖かい潮が、紀伊半島の近くを流れており、それに乗って多くのカツオが入ってきているとみられる。1匹の重さが平均約2.5キロと、例年より0.5キロ重いことも水揚げ量の増加につながっている。

 ケンケン漁は、例年5月上旬にほぼ終わるが、今年は6月に入ってからも揚がっており、6月中旬まで続くとみられる。

 過去20年で水揚げ量が最も多かったのは2010年の988.4トンで、今年はそれを上回りそうだ。

 すさみ町の周参見漁港では連日、大量のカツオが水揚げされており、活気づいている。市場で競り落とされたカツオの多くは、「すさみケンケン鰹」のシールを張り、発泡スチロールの箱に入れて、大阪、神戸、名古屋などの都市部に直送されている。

 漁師は「今年はカツオが多い。6月に入ってもまだ取れる」と話していた。

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