「安全ヨシ!」新幹線駅訓練は丸ごと再現したVRで 開発期間は約2年「本物らしさ」に苦労

メ~テレ(名古屋テレビ)

新幹線ホームの安全を守るJR東海の駅係員。訓練を充実させようと、4月に新しい機器が加わりました。「仮想現実」を使った訓練をメ~テレ記者も体験しました。

上下線で1日約60本の東海道新幹線が発着する三河安城駅。 指さし確認と大きな声でホームや線路の様子を確認し、乗客の安全を守るのが駅係員です。 制帽・制服姿できびきび働く姿に憧れた人も多いのでは。 そんな係員の姿が、会議室にありました。 頭につけているのはVRのゴーグル。装着すると、仮想空間にいるような体験ができる道具です。 「出発のベルがなっています。まもなく出発します。今、扉が閉まりました」(記者) ドアが閉まる間際に乗車したのか、挟まれている乗客の姿が―― ボタンを繰り返し押し、再びドアを開けて乗車させ、無事に出発しました。

こだわりは本物の駅そっくりという再現度の高さ

新幹線のホーム上で働く駅係員向けのVR訓練シミュレーター。JR東海が4月に導入しました。 「VRならではの没入感、リアルさがあって、まるでその現場にいるかのような疑似体験をすることができます」(JR東海 運輸営業部 管理課 山口翔さん) 実際の駅をもとに再現された仮想空間に「没入」しながら、駆け込み乗車や、安全確認中に乗客に声を掛けられる状況など、さまざまな場面を再現した訓練ができるといいます。 こだわりは本物の駅そっくりという再現度の高さです。 静岡県の浜松駅の実際のホーム。看板の「5番線、静岡・東京方面」の文字は、VR上でもそっくりそのまま。 箱に収められた発車ベルや時計の位置まで細かく再現されています。

新幹線全駅で訓練可能に

導入にはこんな背景が―― 「東京と三島・名古屋・新大阪にある拠点に出張して訓練を行う形になっていた。各駅にいながら訓練することができないという課題がありました」(山口さん) 従来から使っている大型のシミュレーター。 沿線の4拠点にしか用意がありません。それ以外の駅で働く係員は、訓練のために出張する必要があったといいます。 「各駅で訓練をできる仕組みはないかなと、研究開発しまして、2022年に三河安城駅の業務研究のグループと共同で開発をした」(山口さん) 開発期間は約2年。業務が特殊なため「本物らしさ」に近づけるには苦労したといいます。 4月からは三河安城駅を含む全17駅にVRの訓練装置を導入し、それぞれが働く駅にいながら訓練ができるようになりました。 現場で働く人たちの受け止めは―― 「現場と乖離がないなと感じています。本当に今ここの駅にいることを感じられてすごくうれしく思いました。訓練でお客さまが落ちそうになっていると、聞いた時はやっぱりヒヤッとしたし、そういうことも実際起こり得るので、これからも気をつけて訓練しようと思いました」(JR東海 三河安城駅 輸送主任 山田俊彦さん)

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