ヤゴレスキュー!~虫嫌いの次女の葛藤~【御手洗直子のコマダム日記 #189】

一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。

「つっこみが止まらないコマダム日記」#189
今回はヤゴレスキューにまつわるお話です。

虫を箸でつまむ授業

娘達の小学校にはヤゴレスキューという行事がある。秋から春までの、プールが使われていなかった期間に発生したヤゴをプール掃除にて駆除される前に救うという行事である。私は実際に見学したことが無いので娘達からの伝聞のみの情報になるが、一年弱かけてドロドロになったプールに突入してヤゴを捕獲するのである。わりと野性味がある。そんな授業があるのかいと思ったが調べてみたところわりとチラホラやっている小学校があってびっくりした。なんでもそうだけど一番最初に始めた人がすごい。そしてわりとメジャーな行事として広まってるのもすごい。どれくらいの割合の小学校でやってるんだろう。

そんなわけで数日後にヤゴレスキューを控えた次女はブルーであった。虫が嫌いなのである。アリですら近づいてくるだけでおののく虫嫌いにヤゴを救う授業は過酷である。救ったヤゴにエサをあげなきゃいけないんだって。できるかな。できなかったらどうしよう。○○さんは虫が好きだからやってもらえるかな。自分でやりなさいって言われたらどうしよう。という感じである。こういう時、毎回思うのだがヤゴにエサをあげなければならない。というノルマに真剣に向き合って悩んでいるのがマジメだなあと思う。年齢的にまだ幼いからだろうかとも思うのだが、私や長女は小さい時でもそんなに真剣に悩んでいなかった気がするのでコレは次女の性格なのかもしれない。

持ち物は長靴、網、割り箸、着替え、ペットボトルを切って作ったヤゴ入れである。わりとガチ装備である。割り箸でヤゴつかむのか…。エサやるより割り箸でヤゴつかむ方がハードル高くないか…?つかんだ箸の先で動くんだろ、ヤゴ…。お母さん、昔うどん屋で鍋の具に生きたエビを出されて『動かなくなるまで鍋の汁の中につけてください』って言われてだし汁の中で暴れるエビを動かなくなるまで箸で押さえつけて食べたことあるよ。箸から伝わる断末魔と命の躍動…。というようなことを言おうとしたがヤゴがつかめなくなるかもしれないのでやめた。エビはとてもおいしかった。

割り箸が無かったので使い捨てのスプーンを持たせてこれですくいなと言ったのだが、これも『箸って言われたのにスプーン持っていったら怒られちゃうかもしれない』と心配していた。マジメである。とりあえず使えるかもしれないから持っていきなと送り出したのだが、この状況からは想像だにできない次女とヤゴの物語の幕開けなのであった。(つづく)

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御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子X(旧twitter):@mitarainaoko

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