ケリー・コンドン『ナイトスイム』では得意の水泳選手の経歴を生かす熱演を披露【この夏、ハリウッドを照らすスター】

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様々なハリウッドスターの台頭が目覚ましい今夏。今回は、多くの映画ファンを魅了する、若手からベテランまでの8人のスターを最新作とともにご紹介します! 今回は、『ナイトスイム』で水泳選手の経歴を生かす熱演を披露したケリー・コンドンについて。
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ケリー・コンドン プロフィール

1983年1月9日(4日説あり)、アイルランド生まれ。子供の頃は水泳選手だった経歴があるというが、1999年に『アンジェラの灰』で映画デビュー。TVシリーズの「ROME[ローマ]」や「ベター・コール・ソウル」、映画では「アベンジャーズ」シリーズなどマーベル作品でアイアンマンの忠実なAIであるF.R.I.D.A.Y.の声を演じたことでも知られる。

また最近では『イニシェリン島の精霊』(2022)で米アカデミー賞助演女優賞候補となって、一躍注目されたことも記憶に新しい。

ホラー映画に出るのは初めてだったけど撮影は楽しくて良い経験になったわ

元々泳ぎが得意なので、水が映画の大きな要素になっていることが『ナイトスイム』に出演することを決めたポイントだというケリー・コンドンは、自分のフィジカルな面(体力的に優れているところ)も見せたかったという。

「それに(アイルランド出身の彼女にとって)アメリカ人の役というのも魅力だったわ。しかも母親であるイヴは家族の中心ではないけれど、一家にとって中核的存在で、バランスの取れたキャラクターなの。夫のレイがキャリアを追うことを許容しながら、すべてをケアする母親という彼女はシンプルな方法で自分の強さを見せてくれるから観客も共感してくれるだろうし、私自身も好きよ。

ちょっと不安だったのは、ホラー映画に出るのは初めてだったこと。でも製作のジェイソン(ブラム)はリアルに演じることだけを私に求めていたし、娘役のアメリ(ホーファーレ)と距離感が近づいてくのが良い経験だったわ。子役は二人とも素晴らしかった。プールでの撮影も楽しかったしね。

ホラーという私にとって経験の浅いジャンルも、監督のブライス(マクガイア)が造詣深くて助けられたわ。彼はいろんな過去作の例を知っていて、キャラクターを生かした作品にしたいと思っているようだった。それに他の人の意見に耳を傾けてくれる監督だったことも幸いだった。誰の意見が重要かでなく、最高のアイデアが何よりも勝ると信じている点も私と同じだったの。

ということで、私にはこれが初のホラー出演作になったのだけど、映画の歴史で長い間このジャンルが愛されているのは、やはり生きていると感じさせてくれるアドレナリンの放出に関係しているんだと思う。例えばジェットコースターに乗ったり、エクストリームスポーツを好むのと同じで、高揚感を追いかけることが人間の本性なのでは?と感じたわ」

ケリー・コンドン出演作『ナイトスイム』

『ゲット・アウト』(2017)などのジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションズと「死霊館」シリーズなどのジェームズ・ワンが、『M3GAN/ミーガン』(2022)に続きタッグを組んだ最新ホラー。

野球選手の夫とその妻、彼らの2人の子供という4人一家が引っ越してきた新居には裏庭に理想的なプールがあった。だが、実はそのプールには暗い過去と邪悪な秘密が隠されていた……。

2014年にブライス・マクガイアとロッド・ブラックハーストが発表した短編「NightSwim」を原案とした長編で、マクガイアが脚本と監督を担当。出演は『イニシェリン島の精霊』(2022)のケリー・コンドン、『オーヴァーロード』(2018)のワイアット・ラッセル、『ハンガー・ゲーム0』(2023)のアメリ・ホーファーレ、『ファースト・マン』(2018)のギャヴィン・ウォーレンら。

撮影はロサンゼルス北東のアルタデナ地区にあった邸宅で行われ、大半の撮影はCGに頼らず実際に水中で実行されたという(撮影監督はチャーリー・サロフ)。

あらすじ

プロ野球選手のレイ(ラッセル)と妻のイヴ(コンドン)、高校生で水泳が得意なイジー(ホーファーレ)、中学生のエリオット(ウォーレン)のウォーラー一家は、レイの仕事ゆえに引っ越しの多い生活を送って来た。だがレイが多発性硬化症を発症し、早期引退を余儀なくされ、郊外に二階建ての一軒家を購入し定住することを決める。

一家が見つけたのは裏庭に大きなプールを持つ物件。そのプールはなぜか長い間、誰にも使用されていなかったが、レイにとっては理学療法にもってこいで、子供たちのレクリエーションにも良い、という利点があり、再び活用されるようになった。

しかし、イジーやエリオットがプールに引き込まれる恐怖体験をするようになり、逆にレイは不思議なほど体調が良くなっていく。このプールはなにかおかしいと感じるようになるイヴ。やがて、一家はこのプールが秘めた謎によって、逃れることのできない過去の闇の奥底に引きずり込まれていく……。

プールの闇に引きずり込まれていくウォーラー一家

レイ(ワイアット・ラッセル)
画像左

プロの野球選手として名を成したが、多発性硬化症の発症で引退を余儀なくされている。新居のプールのおかげで体調に変化が?

イヴ(ケリー・コンドン)
画像右

夫や子供を愛する女性で定住を機に学校の管理職に就く。新居のプールになにか違和感を感じて、元の持ち主を訪ねるが……。

イジー(アメリ・ホーファーレ)

レイとイヴの長女で高校生。学校で憧れる水泳部の先輩を自宅のプールに招くことができて舞い上がっているが……。

エリオット(ギャヴィン・ウォーレン)

イジーの弟。聡明だが繊細で不器用な面を持つ中学生。新居のプールで泳いでいると彼にだけ見えるものにいじめられる?

注目ポイント1:音楽はホラー映画界の売れっ子が担当

演出中のマクガイア監督

本作の音楽担当はマーク・コーヴェン。ブライス・マクガイア監督がこの10年でお気に入りのホラーの音楽を次々手がけており、手紙でラブコールを送って参加してもらったという。監督のお気に入りは『ウィッチ』『ライトハウス』『ブラック・フォン』などで、彼のプレイリストに常に含まれているとか。コーヴェンは最近『オーメン:ザ・ファースト』も手掛けている売れっ子だ。

注目ポイント2:自身の経験を生かしたワイアット・ラッセル

父カート・ラッセルと一緒のワイアットphoto by Getty Images

レイ役のワイアット・ラッセルは名優カート・ラッセルとゴールディ・ホーンの息子として子供時代から映画に出ていたが、実はアイスホッケーのプロ選手だった時期もある。その時代の経験がレイ役に生かせたそうで、

「故障のせいでレイが自己を失っていく様子は、自分や知人がまさに経験したものだった。現役を続けるためにはそれが自分や家族に有害でも、どんなことでもやるという心情はよく理解できる。自身の経験が演技に反映できる要素になったね」と語っている。

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『ナイトスイム』
2024年6月7日(金)公開
アメリカ/2023/1時間38分/配給:東宝東和
監督・脚本:ブライス・マクガイア
出演:ケリー・コンドン、ワイアット・ ラッセル、アメリ・ホーファーレ、ギャヴィン・ウォーレン

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