【映画で学ぶ英語】『ターミネーター』の映画史に残る名言

1984年に公開された『ターミネーター』は、未来から送り込まれてきた殺人ロボットと人間の兵士の死闘を描いたSF映画だ。『エイリアン2』、『タイタニック』、『アバター』といったヒット作を次々と世に送り出したジェームズ・キャメロン監督の出世作でもある。

今回はこの映画の映画史に残る名言を取り上げ、「アイル・ビー・バック」という表現の意味や使い方を解説したい。

■映画『ターミネーター』のあらすじ 1984年のロサンゼルスに、1体のサイボーグが2029年の世界から送り込まれてきた。「ターミネーター」と呼ばれるこの殺人サイボーグの任務は、ロサンゼルスに住む「サラ・コナー」という名の女性をすべて抹殺することだった。

それと同時に未来の世界から、カイル・リースという人間の兵士が、ターミネーターの真のターゲットであるサラを守るために送り込まれてきた。

なぜ自分がサイボーグに狙われるかわからないサラと、彼女を必死で守ろうとするカイルの2人は、ターミネーターの執拗な追跡を受けることになる。

■映画『ターミネーター』の名言 銃撃戦とカーチェイスの末に何とかターミネーターの追跡を振り切ったカイルとサラだが、警察に捕まってしまった。

2人が警察署で取り調べを受けていると、そこにターミネーターが乗り込んでくる。

受付の警官に「取り調べ中なので面会はできない」とはねつけられたターミネーターは、次の名セリフを放って一旦警察署を後にするのだが...。

I'll be back. - 「アイル・ビー・バック」

■表現解説 ”I'll be back.”は「戻ってくる」という意味で、”I'll come back.”とほとんど同じ意味で用いられる。

とは言え、”be back”と”come back”は、いつでも同じ意味で使えるというわけではない。単に”I'll be back”や”I'll come back”であれば、どちらでも1度その場を離れて、そこに戻ってくるという意味になる。ただし、”be back”を用いたほうが、”come back”よりも帰ってくる意志が強調される。

では、”to you”を伴って「あなたのところに戻ってくる」と言いたいときにはどうであろうか。この場合は、”I'll come back to you.”と言うのが適切で、”I'll be back to you.”と言うと別の意味に取られる可能性が高い。

”I'll be back to you”は”I'll get back to you.”のように聞こえ、「戻ってくる」というよりは、電話やメールで再び連絡を取ると言っていると受け止められるからだ。

同じような表現で、”get back to something”という句動詞があり、「過去にやっていたこと、始めたことを継続する」という意味にもなる。”I have to get back to work(仕事に戻らなくてはならない)”はこのような用例にあたる。

ターミネーターの場合には、サラを追跡することを諦めずに戻ってくる、という意志が強調されるため、”I'll be back.”と言うほうが自然なのである。

ちなみに、戻ってきたときには”I'm back.”という表現もあるから、一緒に覚えておくと良いであろう。

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