日本の民主主義を立て直すためには何が必要?

6月7日(金)、ニュースキャスター長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、特定非営利活動法人 言論NPO代表・工藤泰志氏を招き、日本の民主主義について話を伺った。

長野智子「まずはなんですけど、政治資金規正法の改革案が衆院を通過しました。これは工藤さんはどういうふうにご覧になってますか?」

工藤泰志「間違いなく一歩前進してるんだけど……」

長野「前進ですか?」

工藤「前進はしたんですね。ただ、本質的な解決じゃないので。20年前に私はジャーナリストやってる時期があったんですけど、まったく同じ議論を繰り返してるなと」

長野「あぁー、なるほど」

工藤「ただ、この20年の間に間違いなく政治は変わったわけですよ。つまり最大の問題は“市民が政治から退室している”っていうことですね。自民党が裏金作って、これは非常に大きな問題ですけど、自民党の統治能力がないと。それでも野党の支持率は回復しないし、選挙には誰も行かなくなる。完全に市民はもう見限ってしまっているわけですね。これが実を言うと民主主義の本当の危機なんです。だからこれをどう立て直すかということを真剣に考える段階にきたなと思ってます」

長野「本来、民主主義っていうものが機能していれば野党の支持率が上がるとかそういう現象が出てくるっていうことですよね?」

工藤「そうですね。あとは選挙に行ったり、『みんなでこれをなんとか直そう』と思って投票率が上がるとか。全部逆に動いてるということは政治に一票入れても何も変わらないと諦めがハッキリしちゃっているわけですね。」

長野「この諦めの原因っていうのはどこにあると分析されますか?」

工藤「政治が課題解決に向けて共創し合ってないっていうことですね。選挙でも公約見てもほとんどちゃんとした公約じゃないし。国会の議論を見ても基本的に課題解決の共創をしているという光景は全くないですよね。ただ批判し合ってるし、メディアで話題になるとそれについて議論してるだけだし。だから政治家がショーをやってるだけなんだけど、一般の国民は本当に困ってるわけですよね。自分の未来も人生も見えない状況の中で、それに対して政治に一票を投じたかったのに、まったくいま誰に投票すればいいかわからないと。その状況の国会の風景なので、ほとんど『また怒ってるか』っていう段階なんですね。これはでも世界の民主主義もそういう形で崩壊していくんですね。だから日本はそこに片足を突っ込んだと。本気でいま大変な局面だと私は思ってます」

長野「そこを立て直すための方法あるいは劇薬のようなものはあるんでしょうか?」

工藤「あります。私は公職選挙法と政党助成金を変えるしかないと思ってるんですが、ただどっちにしても国会の中でそれを変えるしかないので、政治家がその意思がなければ間違いなく変わらないわけです。だから我々にできることは選挙に行くことしかないわけですよ。ただ選挙に行っても投票する人も投票する政党も見えないというのがいまの状況なので、わたしは『堂々と(投票用紙に)バツを書け』と。選挙にみんな行ってバツを書けと呼びかけたいわけですね。バツの数がどれぐらいあるかっていうことは選管(選挙管理委員会)は発表しないと思うけど、しかしその数がたとえば2000万票くらいになった場合に日本は地殻変動を起こすしかないですね。つまり既存の仕組みに対して、ほとんど誰もNOと言っているっていうことを誰かが表に言わないと、今の状況が永遠に続いて、国民は選挙から離れて政治家だけが存在してるっていう。それが我々の民主主義の未来なのかということをそろそろ考える段階じゃないですか」

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