線状降水帯、深夜―早朝が半数超 避難に危険性、備え重要

2014年の広島市の土砂災害で被害にあった広島市安佐南区の住宅街=同年8月20日

 2023年までの15年間に国内で発生した線状降水帯のうち、午後10時台から午前6時台にかけてできたものが全体の半数超になることが分かった。気象庁気象研究所の広川康隆主任研究官が8日までに分析結果を明らかにした。詳しいメカニズムは分からないものの、深夜から早朝は危険性が伝わりにくく避難も難しいため、気象庁や自治体からの事前の情報や、各自の早めの備えが重要になる。

 分析では、3時間降水量80ミリ以上の場所が500平方キロ以上あるなど雨量や雨域の形状、継続時間など、線状降水帯だと判定する条件を設定。雨量計とレーダー観測の数値を組み合わせた「解析雨量」のデータを洗い出すと、09~23年に496回の線状降水帯を確認した。

 深夜や未明の時間帯は周囲の異変に気付きにくく、気象庁や自治体からの情報も伝わりづらい。さらに危険性が分かっても外への避難にはリスクが伴う。気象庁は22年6月から、12~6時間前に発生の可能性を伝える「半日前予測」を開始、今年5月からは府県単位に範囲を狭め、発表するようになった。

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