〈バンコク移住〉プール・ジムありの洒落た部屋、家賃6万円で暮らせるが…富裕層には高級ホテル運営レジデンス「最上階」の購入がお勧めなワケ【現地の最新情報】

(※写真はイメージです/PIXTA)

出張や旅行でタイの首都バンコクを訪れる人は多くても、移住先として考えたことのある方は多くないかもしれません。しかし、バンコクは移住先としてとても魅力ある場所です。もしバンコクに移住するなら、どのエリアのコンドミニアムを借りる、あるいは買うのがいいでしょうか。今回は、バンコクの日系不動産会社「心友不動産」の北浦社長に現地の最新情報を取材しました。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

住む場所に悩むなら「スクンビット通りエリア」が第一選択肢

小峰:バンコクへの居住を希望する富裕層の方がエリアに悩んでいたら、まずお勧めするのはどこでしょうか?

北浦:日本人在住者の一番人気はスクンビット通り周辺です。駅を挟んで両側に2つの大きなショッピングモールが建つ、プロンポンを中心にしたこのエリアは、日本人向けのスーパーマーケット(フジスーパー)やレストランがそろっています。また、お子さんがご一緒なら、塾やそのほかの習い事なども多くありますし、スクールバスも通ります。

小峰:タイの方々から見ると、スクンビット通り周辺にどんなイメージなのでしょうか?

北浦:若くて収入・資産のあるタイ人が、スクンビット通り周辺に集まってきています。これまでバンコクの中心地は、サイアムやシーロムでしたが、スクンビット通り周辺は勢いのあるエリアとして見られています。

[図表1]バンコク路線図(全域版) 出典:タイ国政府観光庁、タイ観光案内サイト「バンコク路線図」(https://www.thailandtravel.or.jp/common/pdf/bangkok_routemap2022.pdf)より、一部編集部が加工
※ 赤い線で囲ってあるのがスクンビット通り周辺

新宿や渋谷に近い雰囲気も? 個性あるスクンビット通りエリア

小峰:スクンビット通りには、BTS(高架電車)スクンビット線が通っていますが、日本人の多いエリアはどの駅の周辺になりますか?

北浦:BTSスクンビット線のE4からE9、地下鉄との乗換駅のアソーク駅からスタートして、プロンポン駅、トンロー駅、エカマイ駅、プラカノン駅、オンヌット駅のあたりが、日本人エリアといっていいでしょう。

[図表2]バンコク路線図(拡大版) 出典:タイ国政府観光庁、タイ観光案内サイト「バンコク路線図」(https://www.thailandtravel.or.jp/common/pdf/bangkok_routemap2022.pdf)を一部拡大し、編集部が加工
※ 赤い線で囲ってあるのがE4からE9で日本人の多いエリア

小峰:駅ごとの雰囲気はどんな感じでしょう?

北浦:アソーク駅は、駅直結のショッピングモールやホテルもある中心地で、駅の近くに歓楽街もあるので、新宿のイメージに近いですね。

小峰:わかりやすいですね!

エカマイ駅前のショッピングモール内の風景(筆者撮影)

北浦:プロンポンも、駅直結のショッピングモールがある中心地で、ここは渋谷でしょうか。そして、トンローは、三宿とか三軒茶屋とか恵比寿のイメージ。駅前というよりも駅から離れたところにオシャレな店が多く栄えています。エカマイは、あるデベロッパーが「トンローの妹」という表現をしていました。トンローの後を追うように栄えてきた、トンローに似たオシャレな店の多い町です。その一方で、駅前にスーパーマーケットもありますから利便性も高いですね。

小峰:なるほど…。

北浦:次のプラカノンも徐々に栄えてきていますが、プラカノン以上に次のオンヌットがCP財閥による再開発もあって将来栄えてくるでしょう。吉祥寺のようなイメージになりそうです。

約6万円の洒落たスタジオ、100平米以上の豪邸…種類も豊富

小峰:お子さんと一緒に暮す方には、どこがお勧めですか?

北浦:日本人小学校のスクールバスが来るのは「アソーク~プロンポン~トンロー~エカマイ」までなのです。そのため、お子さんと一緒に住む駐在の方は「アソーク~エカマイ」に住む方が多く、塾などの習い事もこのエリア、とくにプロンポン駅の近くに多くあります。ですから、お子さんと一緒にいらっしゃる方は、アソーク~エカマイが便利でしょう。

小峰:お子さん連れですと、やはり広い部屋に住みたい方が多いと思いますが、広い部屋もあるのでしょうか?

北浦:プロンポン駅からトンロー駅にかけては、全部屋100平米以上というコンドミニアムもあります。Vittorio(ヴィットリオ)やMarque Sukhumvit(マルク・スクンビット)です。このエリアのコンドミニアムで100平米以上の部屋を借りると、家賃は12万バーツ前後(約50万円)からになります。

小峰:プロンポン駅の近くは便利ですね。3~4駅ほど離れて、プラカノン駅やオンヌット駅あたりまで行けば、100平米以上の部屋も安く借りられるのでしょうか?

北浦:離れると、100平米以上の部屋がめっきり少なくなり、コンパクトな部屋が増えてきます。そのため、全体的に家賃が下がります。

小峰:単身者がバンコクに移住する場合、どれくらいの値段からありますか?

北浦:スポーツジムやプールがついているようなきれいなコンドミニアムで、BTSオンヌット駅あたりの利便性の高い場所でも、Studioの狭い部屋なら、1万4,000バーツ(約6万円)からあります。

高級ホテルが運営する高級コンドミニアムもある

小峰:富裕層の方、事業を売却した方など、バンコクでゆったりと豪華な生活を送りたいという方もいらっしゃると思います。そうした方向けのコンドミニアムはどうでしょう?

北浦:そのような方には、高級ホテルが運営するコンドミニアムがよいでしょう。メジャーなところでは、リッツカールトン、フォーシーズンズ、マンダリンオリエンタルが運営するものがあります。いずれも、日本人駐在者の多く住むスクンビット通りエリアではなく、金融の中心地のエリア、高級ホテルの多いチャオプラヤ川沿いにあります。

マンダリンオリエンタルホテル運営のレジデンス(筆者撮影)

小峰:BTSのチョンノンシー駅に近いリッツカールトンは別として、あとの2つは、必ずしも交通の便がよいとはいえなさそうですが…。

北浦:たしかに交通の便はそれほどよくないかもしれません。ですが、富裕層の方は毎日通勤するわけではないでしょう。チャオプラヤ川沿いで開放感があり、ゆったりとした生活を送るには、ぴったりだと思います。

小峰:家賃はいくらくらいですか?

北浦:リッツカールトンやフォーシーズンズなら、125平米くらいの部屋が15万バーツ(約65万円)くらいから。マンダリンオリエンタルなら、140平米くらいの部屋が25万バーツ(約105万円)くらいからです。

チャオプラヤ川を行き来するマンダリンオリエンタルホテルの渡し舟(筆者撮影)

高級コンドミニアム、購入する人も多い

小峰:「家賃にそれだけ払うのなら、買ってしまおう」という方もいらっしゃるのでは?

北浦:はい。結構いらっしゃいます。約120平米の部屋が、約2億5,000万円から買えます。新築時からの値動きを見ても、価格は下がっていません。ですから、買ってから自分で数年お住まいになり、売却するというのも十分ありだと思います。

小峰:高級ホテル運営というほど高価なものでなくても、コンドミニアムを買う方はいらっしゃいますか?

北浦:もちろんいらっしゃいます。バンコクでは、三菱地所、野村不動産、東京建物、住友林業、阪急阪神不動産など日本のデベロッパーが、タイのデベロッパーと共同で開発しているコンドミニアムが多くあります。日本のデベロッパーが関与している物件なら、日本の富裕層の方にも安心感があるのではないでしょうか?

小峰:現地の不動産について、日本と少し違うな…と思われる特徴はありますか?

北浦:日本では高層になるほど値段が高くなり、低層階になるほど安くなりますが、バンコクではそれほどの差はありません。しかも、高層階やペントハウスは賃貸に出してもテナントが付きやすく、売却するときにも高値での売却がしやすいといえます。ちょっとした値付けのバグですね。購入されるなら、高層階かペントハウスがお勧めです。

インタビューを終えて

バンコクは日本人が多く住む都市のひとつです。日本人駐在者の多いエリアで利便性を取るか、チャオプラヤ川沿いで優雅な生活を取るか、選択肢はいろいろありそうです。バンコクの懐の深さを感じる内容となりました。

小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士

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