天心の功績、漫画に 北茨城市制作 郷土教育 小中学生、授業活用へ 

美術思想家、岡倉天心の活躍を描いた漫画

茨城県北茨城市は、近代日本美術の発展に尽くした美術思想家で、同市とゆかりのある岡倉天心(1863~1913年)の功績を描いた漫画本を制作した。同市五浦や米ボストンでの活躍を中心に紹介する内容で、5月下旬に市内の小学4年生から中学3年生に配布した。市では授業で活用してもらい、郷土教育などにつなげたい考えだ。

横浜で生まれた天心は東京大学卒業後、文部省に勤務し東京美術学校(現東京芸術大)の設立のため奔走。同校の校長も務めた。校長の職を退いた天心は、1898年に美術団体「日本美術院」を設立し、日本美術の研究に取り組んだ。

漫画では、天心が東京を離れ五浦と出合った1903年から、亡くなるまでの10年間を描いている。ボストン美術館での活動や日本美術院の五浦移転、文化財保存などの功績を紹介。人柄をうかがわせるエピソードも盛り込んだ。作中には用語解説のページにつながるQRコードを入れ、タブレットでの調べ学習などで活用できるようにした。

漫画は公益財団法人B&G財団の助成金を受けて制作。市では制作活用検討委員会を立ち上げ、昨年7月から取り組んできた。監修・原案は県天心記念五浦美術館(同市大津町)の小泉晋弥館長が務めた。発行部数は3千部。

今後、市立図書館や市歴史民俗資料館など公共施設でも展示する。7月以降には同財団ホームページでも漫画を公開する予定。市生涯学習課は「天心のことが漫画で分かりやすく理解できる。子どもから大人まで多くの人に手に取ってもらい、天心や五浦を知ってほしい」としている。

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