腰や背中の不調の解決には「土踏まずの筋肉作り」が大事! 足底を鍛える足刺激テクニック

By 鈴木 きよみ

足から全身に働きかけることで健康的な毎日を生み出す「足ウェルネスⓇ」というライフスタイルを提唱している足のひと 鈴木きよみさん。足裏に表れる表情を読み解き不調の原因を見出す、先生の足相診断をレポートします。今回のモニターさんは、脳疲労や眼精疲労、肩こりや腰痛といった不調が多く、最近は健康への不安を感じるようになったといいます。足相から不調の原因をさぐり、快調な毎日を過ごすための足刺激テクニックをご紹介します!

「腰のゾーンに目立つシワ」は、人間関係の不調があるサインかも?!

今回のモニターは、会社員をしている50代前半のかおりさんです。

かおりさん:「毎日パソコンやスマホを使い過ぎるせいか、眼精疲労や脳疲労があり疲れやすくなりました。仕事中は同じ体勢で体がかたまってしまうので、肩こりや首こり、腰痛もあります。猫背なので意識して姿勢を正すようにしていますが、気を抜くと姿勢が悪くなってしまいます」

きよみ先生:「かおりさんの足相から見ても。腰に不調があるのは明らかですね。足の内側面にある腰椎のゾーンを横切るように何本もしわが入っているのですが(下の画像の丸囲みの部分)、これは腰痛などの腰のトラブルを示しているのです。また、外反母趾の影響もありますが、親指の下から始まる内側面のカーブ(下の画像のオレンジ色の曲線)がとても深いですね。これは背中のカーブと対応していて、カーブが深すぎる人は背中への負担が多いので、背中にも不調が出やすくなります」

●腰椎のゾーン

●腰椎のゾーンを横切るしわ(丸囲み部分)と内側面の深いカーブ

きよみ先生:「『腰』という漢字に『要(かなめ)』が入っていることからもわかるように、腰は体を支える要の部分です。腰が悪いと背中や首にもトラブルが出やすくなるのです。そして、腰や背中にストレスがかかる原因として多いのは、じつは人間関係のトラブルなのですよ」

人間関係にトラブルを抱えていると、体の要の部分によけいな力が入ってこわばり、強い負担がかかることが多いそうです。

かおりさん:「人間関係のトラブル…、たしかに思い当たることはありますね」

きよみ先生:「また、腰や背中に強い負担がかかると、顎(がく)関節症になりやすく、食事がとりづらくなることがあります。かおりさんのように足の内側面のカーブが深い人は、顎関節症に悩んでいる人が多いのですよ」

かおりさん:「その通りで、口が大きく開けにくく、かみ合わせにも違和感があります」

きよみ先生:「顎関節の不調があると、食べものをしっかりとかみづらくなって、消化不良を起こしやすくなります。そのせいで消化器のトラブルを起こしている人も多いのです」

腰や背中のトラブルは、全身に影響を及ぼしてしまうことがわかりますね。

人にやさしくストレスを抱えがちな人の足相は?

かおりさんの足には、人にやさしいという人柄を示す足相があるそうですよ。

きよみ先生:「かおりさんは、足の上半身(下の画像の丸囲みの部分)のふくらみに丸みがあるのが特徴的です。このように丸みのある足をしている人は、周りの人に対してとてもやさしい人が多いのです。その反面、思ったことを正直に言えず、本音を吐き出せないのでストレスを抱えやすくなります」

●やさしい人柄を示す上半身に丸みのある足

きよみ先生:「両足の甲状腺のゾーンに、同じような横じわがありますね。これは甲状腺の不調を示しています。かおりさんの疲れやすさは、甲状腺の働きの悪さからも来ているようですね」

かおりさん:「以前、甲状腺の検査で数値が悪かったことがあります。そのときは経過観察で終わったのですが、やはり問題があるのかもしれませんね」

●甲状腺のゾーン

●左右の甲状腺のゾーンにある横じわ

きよみ先生:「甲状腺の働きをよくするためには、日常のストレスを減らすことが重要です。思ったことは外に吐き出せるように心がけるといいですね。かおりさんはストレスがあるようなので、それを減らすことが甲状腺の働きを高めることにつながりますよ」

かおりさんの場合はストレスが、腰・背中への負担や、甲状腺の働きの悪さにつながり、肩こり、腰痛、疲れやすさなどの不調を引き起こしていることがわかりました。

きよみ先生:「今のかおりさんの足は、内側側面の深いカーブも示しているように、体をしっかりと支えることができていません。そのためにさまざまな不調が表れてしまっています。足もとを安定させるためには、土踏まずの筋肉をしっかりとつけることが大切ですよ」

足の重心がしっかりと安定すれば、腰や背中の負担が減らせるのですね!

土踏まずの筋肉を鍛える足刺激テクニック

足底の筋肉を鍛えるためにおすすめの足刺激テクニックをご紹介します。外反母趾の人や、指に力が入りづらい人、腰や背中に痛みがある人も、ぜひ刺激してみてくださいね。

【腎臓~輸尿管~膀胱のゾーンをプッシュ】
はじめに、足裏の反射区の基本的な部位である腎臓・輸尿管・膀胱のゾーンを流れで刺激します。体の不要な毒素を排出する働きを高めることで、全身の巡りをよくします。オイルやクリームをつけ、指圧棒や指の関節の角を使ってしっかりと刺激しましょう。

●腎臓・輸尿管・膀胱のゾーン

【土踏まず全体を刺激】
土踏まずには、胃や小腸、大腸などの消化器のゾーンが集まっています。母指球のふくらみのすぐ下から、土踏まず全体をしっかりと刺激しましょう。手をグーにして、指の関節の角を当てたり、指圧棒の先を当てたりして、ゴシゴシと流すように刺激します。老廃物や毒素の滞りがあると、ゴリゴリとした手ごたえが感じられます。滞りはつぶして流すイメージで、全体をまんべんなくこすりましょう。

●足裏のゾーンマップ

●母指球のふくらみから下をまんべんなく刺激

【親指全体を刺激】
親指は、首から上の頭部と対応しているゾーンが集まっています。疲れを感じたときに、親指全体をもむようにして刺激すると、脳疲労が解消しやすくなり、首こりなどもラクになります。

●親指の腹は指先でグリグリと強めに刺激

のびのびとした足になるための養生法

かおりさんは、足の内側側面のカーブが深く、外反母趾も気になります。また、人さし指が内側に曲がった状態になるハンマートゥも見られます。この状態が続くと、足の重心が傾きやすく、体を支えにくくなり、腰や背中の不調が悪化しやすくなることも。傾いた足指や、縮こまった指先を、自然にのびのびとした状態に戻すためには、毎日のはきものを変えることが効果的だそうですよ。

きよみ先生:「足指の状態を矯正する効果のあるはきものやインソールに変えると、指先がのびのびとして、指先の力も入りやすくなり重心が安定します。足もとからの体へのストレスが減ると、精神的にもラクになりますよ」

かおりさん:「ふだんはスニーカーが多いですが、ヒールの高いパンプスをはくこともあります。ただ、長時間はき続けると痛くなってしまうので、必ずはき替え用のスニーカーを持って出かけます」

シューフィッターがいる専門の靴店で足に合う靴を見つけたり、オリジナルのインソールを作ったりすると、足や指の状態を少しずつ変えられるそうです。腰や背中の不調を感じる人は、はきものを見直してみるといいかもしれません。

親指の傾きが少なくなり、全体に血色がアップ!

足刺激前後の足裏の変化を確認してみましょう。足刺激前は左右の親指の傾きが強く、足色も黄色っぽさが目立ちましたが、足刺激後は親指の傾きが少なくなり、血流がよくなって血色のいい足色になりました!

●足刺激前

●足刺激後

最後にかおりさんに、足相診断を受けた感想を聞きました。

かおりさん:「足刺激はとても痛かったのですが、そのあとに立って足踏みすると、しっかりと安定して立てている感じがしました! これから自分で足刺激をするのが楽しみです」

3週間の足刺激体験で、腰や背中などの負担が少し軽くなるといいですね! 次回記事では、その後の体調や足相の変化をくわしくお伝えします。

取材・文/牧内夕子 イラスト/湯沢知子

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『すべての不調は足裏をみればわかる!』(ワン・パブリッシング刊)

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