ミニボートで海釣り中に迷子…気付いたら燃料タンクが 福井県で相次いだ事故【敦賀海保日誌】

エンジントラブルでレスキューされるミニボート=福井港
海の安全運動のポスター

みなさん、こんにちは!ゴールデンウィークから早1ヶ月、みなさんはゴールデンウィークをどのようにして過ごしましたか? さて、今年のゴールデンウィークですが「福井県内での事故は“ゼロ”でした!!!」と言いたいところですが、残念ながら事故は発生している状況で・・・。ゴールデンウィーク期間の4/27~5/6の間で5件の事故があり、うち4件がミニボート、手漕ぎゴムボートの事故でした。この4件は転覆、機関故障、燃料欠乏等でした、ってどんな事故?

いくつかご紹介します。  「転覆」は、男性2人が手漕ぎゴムボートでの釣りを終え、帰港する途中で漕ぎ手を変わろうと一人が立ち上がった際に、バランスを崩しボートが転覆し2人とも海に転落してしまった事故です。1名は救命胴衣を着用しておりませんでしたが、2人がボートにつかまっていたところを通りかかった漁船に救助され、怪我等はありませんでした。 手漕ぎボートやミニボートって小さくて軽くて手軽なイメージですが、揺れやすく不安定で、ボートの船べりに座ったり、立ち上がるとバランスがとれなくなって、転覆したり乗船者が海に落ちたりする事故が多いんです。また横や後ろから波を受けて浸水や転覆することもあります。

 次は「機関故障(エンジントラブル、略してエントラ)」、男性2人がミニボートで港内を移動しながら釣りをしていたところ、突然エンジンが停まり、その後始動せずに走れなくなった事故です。 ミニボートは、定期的な船舶検査が不要なため、目に見えるところ、簡単に出来るところしか点検をしないユーザーも多いんです。 ミニボートのエンジンは小さい分、繊細なところもあって、燃料タンクの中のちいさな小さなごみでも詰まって止まってしまうこともあるようです。 また、ユーザーでは点検が難しい、分解が必要なところがあって、整備事業者による定期的な点検をおすすめします。

そして「燃料欠乏」、これは字のまま「ガス欠」です。 男性2人がミニボートで釣りを終え帰りたいけど出航した場所が分からない、迷走しているうちに燃料が底をついてしまった事故です。 自分の船の燃費や走る時間を考えて、余裕をもって燃料を積んでいってください。 でも、出航場所がわからなくなるような沖にでないこと、トラブル時にオールで漕いで帰れる距離でお楽しみください。 (海上保安庁「ウォーターセーフティーガイド」)

 また、ゴールデンウィーク期間中の5件の事故はすべて、福井県外からの来訪者だったんです。

福井県内には水島や水晶浜のような透明度の高い綺麗なビーチが沢山あり、県外からの来訪者による事故が大変多いんです。過去5年間のマリンレジャー中の事故では、なんと全体の9割近くが県外者だったんです。 去年、県内の海水浴場で海水浴客がイルカに噛まれたり体当たりされる被害が相次ぎましたが、外国人も被害に遭われたんです。

北陸新幹線が敦賀まで延伸されて福井県を訪れる外国人も増えていますので、外国人の事故が増えることが心配です。

ところで、東京新橋駅からヨーロッパまで一枚の切符で渡航できる「欧亜国際連絡列車」がかつてあったことを知ってますか?新橋駅から敦賀港駅を鉄路と、敦賀港からは海路でウラジオストックに渡り、シベリア鉄道に乗ってヨーロッパ各地に行けたんです。 さらに遡ること平安時代。NHK大河ドラマ「光る君へ」の越前編では交易を求めて来航した宋(中国)人が敦賀にあった「松原客館」に滞在していたようです。 古くから大陸と交易要所だった敦賀は人々の往来が盛んであったことが伺えます。

福井県を訪れる方々が安全にマリンレジャーを楽しめるように今一度、海で遊ぶ際は、

●「自船の安全確保3か条」 ①発航前、機関や燃料等の点検の実施 ②航行時、常時見張りの徹底 ③故障時に備え、救助支援者の確保 ●「自己救命策3つの基本」

 ①ライフジャケットの着用!

 ②携帯電話・スマートフォンなどの連絡手段の確保!

 ③海のもしもは118番!

を心掛けて、楽しい思い出を作りましょう! (敦賀海上保安部・うみまる)

⇒釣り中やマリンスポーツ中にトラブル…連載「敦賀海保日誌」をもっと読む

 

 

© 株式会社福井新聞社