県議選がスタート 候補者75人が90秒で政策アピール! 投票へ行こう【6月1日~7日 タイムス+プラスから】

 

 NHKの連続テレビ小説「虎に翼」をオンデマンドで追っかけながら見ています。伊藤沙莉さん演じる主人公・猪爪寅子(愛称トラコ)のモデルは、日本初の女性弁護士の一人となった三淵嘉子さん(1914~84年)。女性蔑視が色濃い時代、トラコが理不尽な状況で「はて?」と突っ込む姿に共感して、元気をもらっています。戦前、女性には参政権がありませんでした。トラコのようにおかしいことに「はて?」と声を上げ続けてきた人たちがいるから、今の権利があるのだなと改めて思いました。

県議選立候補者の政党別内訳

 今週は県議会議員選挙の告示が7日にありました。75人が立候補し、選挙戦がスタートしました。前回の2020年はコロナ禍で選挙運動が制限され、投票率が46.96%と初めて5割を切りました。民主主義の根幹を成す選挙。今回どれだけ投票率が回復するのか、それとも下がるのか、注目しています。

第1回の県議選。復帰後初の知事・県議ダブル選となり、朝早くから長い列ができることもしばしば。それでも「若い人の姿が少ないみたい」という声があった=1972年6月25日、那覇市第28投票所

5割を切った前回の投票率

 ウェブの「90秒 私の訴え」は、立候補者に90秒の動画で主な公約や政策を語ってもらう企画です。初の取り組みで、全75人の候補者に協力していただきました。90秒って意外と長く、それぞれが重視していることが分かります。投開票日は6月16日。ぜひ、貴重な1票を投じる参考にしてください。

晴れ・曇り・雨 投票率が高くなる天気は

 気象予報士・崎濱綾子さんのコラムでは、県議選の過去13回の投票率と投開票日の天気を比べています。投票率の平均が最も高かった天気は曇りの日でした。

県議選で過去の投票率・天気(那覇)・沖縄地方の梅雨明け(崎濱綾子さん作成)

 選挙と天気の関係については、雨の日は外出しにくい、晴れの日は行楽に出かけたい、そのため曇りの日は投票率が高くなると昔から言われていますが、県議選もその通りの結果となりました。

  梅雨の時期にある県議選。選挙期間中の天気も気になるところです。

学徒の思いを受け継いで

 6月23日は慰霊の日。今月に入って沖縄戦を継承する取り組みの記事も増えてきました。首里高校演劇部は、県立首里高等女学校(通称・首里高女)で沖縄戦に動員された「瑞泉学徒隊」を題材にした朗読劇に取り組みました。学校生活を謳歌(おうか)していた生徒たちが戦場に駆り出され、犠牲になった悲劇を伝えます。

 高齢化による会員数の減少で、瑞泉同窓会の解散が決まりました。記事には、同窓会の新元貞子会長(98)が、上演を終えた部員に「ありがとう。心に伝わってきた。沖縄戦があったことを忘れないで」と呼びかけたとありました。

「瑞泉学徒隊」をテーマにした朗読劇を演じる首里高校演劇部。戦争が始まる前、学校生活を謳歌している場面=5月25日、那覇市・ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城

沖縄戦司令官の句掲載に批判

 一方、陸上自衛隊の公式ホームページに、沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句が掲載されていることが分かりました。

 「秋待たで 枯れ行く島の 青草は 皇国の春に 甦(よみがえ)らなむ」。この句について歌人の名嘉真恵美子さんは次のように解釈しています。

 短歌の内容は、直接的には「秋を待たずに枯れていく沖縄島の青草は、天皇の治める国の春に、再び甦ってほしい」。「青草」という言葉からは、青人草(あおひとくさ)と書く「臣民」(今でいう国民)のイメージがある。ここでは表面上は草木のことを歌っているが「皇国」という言葉から、いわゆる天皇の臣民に再び立ち上がってほしいという願いがあると解釈できる。

 
 沖縄戦では第32軍が首里を放棄して南部に撤退したことで多くの住民が巻き込まれ、犠牲になりました。その歴史認識に立てば、司令官の句を載せることはありえません。自衛隊と旧日本軍のつながりを想起させる内容で、識者は「旧軍思想の継承だ」と警鐘を鳴らしています。

 他にも、陸上自衛隊幹部候補生学校(福岡県久留米市)が、「沖縄作戦において日本軍が長期にわたり善戦敢闘し得た」と評価し、幹部候補生の教育方針にしていたことが分かりました。住民の被害には触れていません。

 おかしいことには、声を上げ続けていきたいと思います。

沖電、10年ぶり都市対抗野球へ

 スポーツでは、女子プロゴルファーの新垣比菜選手が6年ぶりのツアー優勝を飾ったほか、社会人野球の沖縄電力が都市対抗野球(7月19日から12日間・東京ドーム)出場を決める明るいニュースもありました。

 新垣選手は最終日、大雨の中、集中してスコアを落としませんでした。優勝を決めた瞬間、キャディーについた兄の我如古夢蔵さんが号泣して、笑顔だった新垣選手もうれし泣きする姿にうるっと来た県民も多いのではないでしょうか。

都市対抗野球の本大会出場を決めて胴上げされる沖縄電力・平田太陽監督=6月3日、沖縄セルラースタジアム那覇

 沖電は県内であった九州予選、雨での順延が続いてコンディションを保つのも大変だったと思います。都市対抗は強豪ぞろい。10年ぶりの出場、まず1勝を挙げてほしいと思います。ちばりよー。

 今週のデジ編チョイスは大門雅子が担当しました。

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