パター形状に握りまで…畑岡奈紗がグリーン上で“大イメチェン”を敢行 「かなり思い切りました」

畑岡奈紗は”握り”を変えて好発進(撮影:ALBA)

<ショップライトLPGAクラシック 初日◇7日◇シービューGCベイC(ニュージャージー州)◇6197ヤード・パー71>

「なかなか慣れないところはありましたけど…集中してできますね」。畑岡奈紗は、今季の悩みの種になっているパッティング面で“大刷新”を敢行し、この3日間大会に臨んでいる。

そのひとつがヘッド。開幕2日前の5日(水)に出場したプロアマでテストをした、スコッティキャメロンのマレット型を投入した。これまでセンターネックで半円型のマレットパターを愛用してきたが、新兵器は雰囲気が大きく異なる。まずネック部分がなく、2カ所を曲げたシャフトが直接ヘッドにつながっているダブルベント。形状も大型マレットになっている。そのプロアマ後には「気分転換に替えるかも…」と話すにとどめていたが、投入を決めた。

ただ何よりも驚かされたのが握り方。畑岡といえば左手を下にしてグリップを握る『クロスハンド』で、米国ツアー6勝などの実績を残してきた。しかしこの初日は、右手が下になる『順手』で18ホールをプレー。「今までの握り方なら、いくつか違うこと考えながらやっていたと思うけど、(順手にすることで)逆に距離感だけに絞ってやっていたのがよかったのかもしれない」。こうして2度の3連続を含む7つのバーディを奪った。

スコッティキャメロンのパターも、ダブルベントも、順手にするのも「記憶があるなかでは初めて」だという。「これまでも何度か違う型のパターをテストする機会はあったんですけど、試合で使うところまではいけてなかった。かなり思い切ってやった部分はあります」。まさに“大イメチェン”といえる。

2022年シーズンを最後に優勝から遠ざかっている。今季もこの試合前までに12試合に出場、トップ10には2度入っているが7勝目はつかめていない。その原因を『30.09』で90位に甘んじている平均パットなど、グリーン面に求めている。昨年は25位(29.41)、一昨年は12位(29.27)で、米国ツアーに本格参戦した2017年以降、この数値を“30台”で終えたことはない。「最近(パッティングで)いいイメージが湧いていなかった。変えてみてもいいかなと思って、やってみてよかったです」。この日の18ホールは、26パットで切り抜けた。

グリーン右に外した終盤の7番パー3では、アプローチ後に残った2メートル弱のシビアなパーパットをねじ込んだ。さらに2打目がグリーン右のフェスキューに入り、アンプレヤブルを余儀なくされた最終9番でも、3メートルは残っていたパットを決め、しぶとくパーを拾う。「7番と最後はすごくいいセーブだったと思う。3~4メートルのパットが決まると、それ以降のプレーにも影響がありますね」。いい形で明日につなげることができた。

初日にマークした6アンダーは4位タイ。同組で回ったアルピチャヤ・ユボル(タイ)が「61」で、10アンダーの単独トップに立ったが、それに食らいつき上位を争うひとりに名前を連ねた。2日目は午後組でプレー。クセのあるポアナ芝のグリーンはさらに荒れ、リーズ湾から吹き込む風も強さを増すことも予想できる。「パターがよくなることで、ショットもアグレッシブにチャンスにつけたくなりますね」。なりふり構わず、2年ぶりの優勝を目指していく。(文・間宮輝憲)

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