「昔、付き合いで入った保険をそのままにしている」は要注意…遺された家族が「相続」でもめる要因【相続・終活コンサルタントが助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

終活を進めるにあたり「相続財産の整理」は重要なことのひとつです。金額にかかわらず、財産整理を怠った結果、相続トラブルに発展するケースは少なくありません。行政書士で、相続・終活コンサルタントである明石久美氏の著書『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 人に迷惑をかけない終活』(オレンジページ)より、家族がもめない財産整理のポイントをみていきましょう。

加入している保険の整理をしたい

みんなの声

●昔、付き合いで入った保険をそのままにしている……

●保険料が負担になってきたので、下げたい

今後の人生にフィットする保障内容か確認を

昔契約した保険、そのままになっていませんか

複数の保険に加入している場合、保障内容がダブっていることがあるので確認をしましょう。契約先と保障の内容を一覧化すると把握しやすくなります。また、若い頃に契約した保険がそのままだと今後の生活で必要な保障に合わない内容になっているかもしれません。主に次のポイントを見直せるとよいでしょう。

●受取人

受取人に指定していた配偶者が死亡している場合、受け取ってほしい人(子、兄弟等)に受取人を変更できているか確認を。なお、受取人が死亡して指定しないままだと相続人に支払われるが、手続きが大変になるため、受取人の確認・変更をしておこう。

●受取金額

子どもが自立し、住宅ローンもなければ高額な死亡保険金は必要なし。受取金額を下げられると保険料も下げられる。死亡保険を葬儀代にあてたいならば受取金額を200万~300万円ほどに設定する。また、医療保障の給付内容・金額も確認をしておこう。

●払込期間

いつまで保険料を支払うのか。今後、年金暮らしになっても、物価が上昇しても払う価値があるものかを見直す。

●保障期間

保障期間は何歳までか。終身保険に医療特約を付けて終身保険の払い込みが終了した場合、医療特約の保障期間もその時点で終了するのが一般的。その後も特約の保障の継続を望む際は、まとまった保険料を先に支払うことになるので注意したい。

株や投資信託はこのまま保有していて大丈夫?

みんなの声

●多くの証券会社に口座をもったまま株券が眠っています

相続人がもめる前に現金化も選択のひとつ

分割しづらいため均等に分けるのが難しい

株や投資信託、国債などの債券(まとめて有価証券という)はあなたの死後、相続財産として相続する人に引き継がれます。証券会社に相続人が届け出て、相続する人が同じ証券会社に作った口座へ移管されます。手続きに必要な情報はしっかり残しておきましょう。

手続きに必要な主な情報

●株・投資信託 証券会社名、支店名、口座番号、銘柄、株数・口数

●債券 証券会社名、支店名、口座番号、債券名

証券会社から送られてくる「取引残高報告書」があれば情報の代わりになる。あなたが遺言書を残さず亡くなると、相続する人たちで有価証券をどのように分けるか話し合います。相続する人が複数いる場合、全員が合意するまで動かせません。有価証券をそのままほしい人、現金でほしい人、特定の銘柄だけがほしい人などがいれば、もめごとの種になってしまいます。有価証券は価値の変動もあり、事前に遺言書で公平に分けておくのも難しい財産です。

有価証券を現金に換えておくこともひとつの方法です。何よりも使っていない口座は解約しておきましょう。

クレジットカードはいつまで持っていていい?

みんなの声

●カードは複数枚あると安心だし、特典目当てで次々作ってしまう……

未使用カードはすぐ解約、使うカードのみ残す

クレジットカードを整理するポイント

クレジットカードを複数持ったまま亡くなってしまうと、残された家族は解約の手続きが大変です。

また、どれくらい借り入れがあるかわからないまま亡くなると家族には精神的な負担もかかります。支払いが終わっていないカードローンはなるべく早く完済を目指して、使っていないカードは解約しましょう。

将来、認知機能が低下した場合に、自分でも気づかないうちに浪費したり、紛失や不正利用にあうリスクも無視できません。残しておくカードの限度額はなるべく下げておくことも大切です。亡くなったあとで引き落としがくることもあるため、家族に契約中のカード会社の情報を伝えておくことも忘れないようにしましょう。

〈ここがポイント〉

クレジットカードは枚数を減らし、限度額も下げる。残すカードの会社の名前、連絡先、引き落とし口座を記録

カード裏面のヘルプデスクに電話をすれば解約の手続きは進められます。捨てる際はカードをハサミで裁断しておくと安心です。

なお、解約するとポイントや付帯している保険もなくなります。

明石 久美
相続・終活コンサルタント/行政書士

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