図書館の本、学校お届け 茨城・神栖市のサービス好評 遠隔地でも読書親しむ

学校で図書館の本が入ったバッグを受け取る児童=神栖市立やたべ土合小(画像の一部を加工しています)

図書館の本が学校で借りられる茨城県神栖市の「学校★(ほし)ほんお届けサービス」が好評だ。当初は蔵書数の多い図書館がなかった波崎地区限定の取り組みだったが、現在は対象を市内全域に拡大。学校関係者から「子どもたちが読書に親しむ格好の機会」と歓迎の声が上がっている。

同サービスは専用用紙やインターネットから読みたい本を申し込むと、週2回の配送で市内の小中高校に直接届く仕組み。

同市の図書館は、中央図書館(同市大野原)とうずも図書館(同市知手中央)の2カ所。他に公民館図書室が3カ所あるが、蔵書数が多い図書館はいずれも神栖地区だった。同市は南北に長く、南部の波崎地区の児童生徒が図書館を利用しにくい状況が続いていた。

このため、中央図書館は2021年度、波崎地区の11校を対象に同サービスを開始。22年度からは対象を市内全域に拡大し、現在は市内の小中高校25校のうち希望する19校が利用する。対象地域拡大に伴い、貸し出し冊数は21年度の2822冊から23年度は5507冊に伸びた。

借りられる本は二つの図書館と公民館図書室の蔵書計約44万冊で、1回当たり6冊まで。インターネットか専用用紙で予約できる。読みたい本が分からない場合でも、「伝記」「恐竜」など関心のあるジャンルを選ぶと、図書館司書が年齢に応じた本を選んでくれる仕組みだ。

波崎地区のやたべ土合小(根本英生校長)では今月4日、児童5人が貸し出し図書が入った専用バッグを受け取った。毎週のように利用しているという6年の根橋美羽さん(11)は「図書館に行かなくても本が借りられるので便利。これまでに100冊は借りた」と笑顔を見せた。

同校の学区内には公民館図書室がない。同校によると、サービスを利用する児童は次第に増えており、多い日には10人分の図書が届くことも。中央図書館からは約20キロ離れていたこともあり、児童の多くはこれまで図書館に通う習慣がなく、教務主任の三浦知子教諭は「子どもたちが本を借りやすくなり、本を読む良い機会になっている」と話す。

中央図書館には他にも同サービスを歓迎する声が寄せられており、担当者は「気軽に利用して、読書に親しんでほしい」と積極的な利用を呼びかけている。

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