デンマークの首相、首都の広場で襲われる 容疑者逮捕

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(46)が7日夕(日本時間8日未明)、首都コペンハーゲン中心部の広場で男に襲われる事件があった。容疑者は現場で拘束された。

首相府は声明で、「メッテ・フレデリクセン首相は金曜夜、コペンハーゲンのクルトルヴェト広場で男に殴られた。男はその後、逮捕された。首相はこの事件に衝撃を受けている」と発表した。

首相府はさらに8日、首相が「軽度のむち打ち症を負った」と明らかにした。

コペンハーゲン警察は男を逮捕し、捜査中だと発表した。動機については明らかにされていない。

事件に関連して39歳男性が8日午後にも、市内の裁判所に出廷する予定。

マグヌス・ホイニケ環境相は、「メッテは当然、襲われてショックを受けている。彼女の近くにいる私たち全員が、動揺している」と

事件を目撃したという女性2人は現地紙BTに対して、「男が反対側から近づき、首相の肩を強く押した。このせいで首相は横向きに倒れた」と話した。首相は体が地面に当たったわけではなく、男に押された後、カフェの椅子に腰かけていたと女性たちは付け加えた。

デンマークでは9日に、欧州議会選の投票が行われる。

フレデリクセン氏は中道左派の社会民主党代表。デンマークのTV2によると、この事件に先駆け、同党の主要候補クリステル・シャルデモーゼ氏と共に選挙イベントに参加していた。

社会民主党はデンマーク連立与党の第一党。世論調査の支持率では先頭に立つが、ここ数カ月の間に支持率はかなり低下している。

シャルル・ミシェル欧州理事会議長は、「とんでもないことだ」と

、「この卑怯な暴力行為を強く非難する」と強調した。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、「欧州で私たちが信じること、守ってそのために戦うあらゆることと、まったく食い違う、おぞましい行為」だと非難した。

欧州では5月15日に中欧スロヴァキアで、ロベルト・フィツォ首相が銃撃される事件があったばかり。フィツォ氏は支持者に挨拶をしていた最中、至近距離から腹部などを数回撃たれたが、手術を経てこのほど退院した。

フレデリクセン氏は2015年に党首となり、2019年6月の総選挙でデンマーク史上最年少の首相となった。同年8月には、デンマークの一部のグリーンランドについて、当時のドナルド・トランプ米大統領がこれを買収したいと発言したのに対して、「ばかげている」と一蹴したことから、トランプ大統領(当時)は「意地悪な」発言だと反発。グリーンランド訪問を中止した。

フレデリクセン政権は2020年、新型コロナウイルスのパンデミックの最中にミンク1700万匹の殺処分を決定。この決定について調査委員会は2022年、首相を厳しく批判した。

(英語記事 Danish PM attacked by man in Copenhagen

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