中2男子自殺、36件いじめ認定 相生市第三者委調査 「うざい」と中傷、殴る蹴るの暴行も

中学生が自殺した問題の調査結果について会見する第三者委員会の曽我智史委員長=8日午後、相生市相生6、市文化会館なぎさホール(撮影・辰巳直之)

 昨年3月、相生市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自宅で自殺した問題で、同市の第三者委員会は8日、クラスや部活動で、同級生らによる言葉や暴力、交流サイト(SNS)でのいじめ行為が少なくとも36件あったと認定し、自殺に至る主な要因になったとする調査報告書を公表した。教職員がいじめを見逃し、校内で連携もできていなかったと学校側の対応を批判した。

 弁護士ら4人でつくる第三者委(委員長=曽我智史弁護士)の報告によると、男子生徒は入学直後からクラスの同級生から「変態」「きもい」などと陰口を言われ続け、2年になると「うざい」「死ね」などと直接中傷されるようになり、殴る蹴るなどの暴力行為にエスカレートしていった。インスタグラムに生徒を中傷する写真が掲載されたこともあったという。

 男子生徒は昨年2月、学校が全生徒を対象に行ったアンケートでいじめ被害を訴えていた。しかし学校側は、兵庫県教育委員会が学校に設置を指導している「いじめ対応チーム」の会合を一度も開かず、被害情報を教職員間で共有していなかった。

 両親が校長や担任に相談したこともあったが、適切な対応を取らなかったという。

 第三者委は、これらのいじめや学校の対応が自殺に大きく影響したと結論付けた。継続的にいじめがあったのに、学校側は単発の事象と捉え、軽視していたと指摘。市教委も男子生徒のいじめについて2件の報告があったものの、連続性があると把握できなかったとした。

 市教委の坂本浩宣教育長は同日会見し「悲しく痛恨の極みで、誠に申し訳ない」と謝罪。市教委は今後、関係者の処分を検討する。

 男子生徒の両親は「非常に綿密な事実認定をした上で、鋭く問題提起していただいた」とする一方、「加害生徒や学校、市教委からは謝罪の言葉すらない。学校への信頼は一切ない」と憤った。(豊田 修)

### ■報告書の骨子

・入学直後から同級生に陰口を言われ、2年になると「死ね」といった暴言のほか暴力を受けた ・部活動の練習前、後輩に校舎に閉じ込められ、殴られた ・校外学習中に同級生が撮った寝顔を「変態」の文字と一緒にSNSにアップされた ・男子生徒が書いた性的な内容のメモを、教員がクラスで読み上げた ・教員がいじめを軽視し、男子生徒と加害者双方を謝らせた ・いじめ防止法に基づく「いじめ対応チーム」の会合を学校が開かなかった ・教員間の意思疎通が不十分で、問題点の共有ができなかった

© 株式会社神戸新聞社