バイデン米大統領、ウクライナ軍事支援の遅れ謝罪 ゼレンスキー大統領との会談で

ジョー・バイデン米大統領は7日、ウクライナへの軍事援助が遅れたことをウォロディミル・ゼレンスキー大統領に謝罪し、2億2500万ドル(約352億円)の支援を約束した。

両大統領はこの日、パリで会談した。前日6日には、第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦80周年を記念した現地での式典に、共に出席していた。

バイデン大統領は、これまでの援助の遅れは連邦議会の一部の共和党議員が原因だとしながらも、アメリカはウクライナを支え続けるとあらためて強調した。

「アメリカはウクライナと一緒に立つ」と、バイデン氏はゼレンスキー氏に伝え、「皆さんは屈していない。譲ってもいない。皆さんの戦いぶりは驚異的だ、実に驚異的だ。そして私たちは、皆さんを置いて去ったりしない」と述べた。

さらにバイデン氏は、「(支援の)予算措置について、いったいどうなるのかわからないまま何週間もたってしまった。謝ります。予算が含まれている法案成立に苦労してしまった。数人の、非常に保守的な議員が法案を阻止していたからだ。でもついに実現した」と謝罪し、説明した。

これに対してゼレンスキー氏は、両国関係の重要性を強調し、ロシアとの戦いにおいて不可欠だと強調。 「アメリカが今後も私たちと肩を並べて、今後も引き続き支援してくださることを、私たちは頼りにしている」と述べた。

米国防総省によると、追加支援には弾薬や対空ミサイル、装甲車、対戦車兵器なども含まれる。

バイデン氏は、ゼレンスキー氏と会談後、ノルマンディーにあるポワン・デュ・オックを訪れ、思いを込めた演説をした。ラ・ポワント・デュ・オックでは1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦の際に、ナチス・ドイツ軍の拠点を襲撃するためアメリカ陸軍のレンジャー部隊が、そそり立つ崖をのぼり切った。

バイデン大統領は、80年前の上陸作戦で命を落とした人々の犠牲について語り、「彼らは今の欧州について、アメリカがプーチンの侵略に対抗することを願うはずだ。それを疑問視する人などいるだろうか」と述べた。

さらに大統領は、80年前にノルマンディーで戦死した兵士たちが今の自分たちに、やるべきことをするよう求めているのだとして、「今のこの時代において、自由を守り、民主主義を守り、国の内外で侵略に立ち向かうよう」自分たちは求められているのだと強調した。

ウクライナ兵の現地訓練を検討=マクロン氏

これに先立ち同日、ゼレンスキー大統領はフランス議会で演説し、ヨーロッパが「残念ながらもはや平和の大陸ではない」ことを、ロシアと続く紛争は示していると述べた。

また、今月中にスイスで開催される首脳会議が、戦争終結につながることを期待すると話した。

ゼレンスキー氏は今回の訪仏で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とも会談した。

マクロン大統領は6日夜にフランスのテレビ局に対し、政府はウクライナに戦闘機「ミラージュ2000」を送り、ウクライナのパイロットを訓練すると述べた。訓練は今夏にも開始可能だという。

「訓練には通常、5カ月から6カ月は必要なので、年末までには新しいパイロットが誕生する。訓練はフランス国内で行う」と述べた。

マクロン氏はまた、ウクライナの現場でウクライナ兵を訓練するため軍事教官の派遣要請を、西側諸国は検討すると述べた。

これについてロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、マクロン氏の発言は、ウクライナ紛争に「直接」関与する意思があることを示すものだと批判した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は5日、西側諸国の攻撃を目的に、ロシアは外国に武器を提供する可能性があると警告した。プーチン氏は、西側諸国がウクライナに長距離兵器を提供したことを批判しながら、このように発言した。ロシアがどの国に武器を提供し得るかは明言しなかった。

アメリカを含む数カ国は、自国提供の武器を使ってロシア国内の標的を攻撃しても良いと、ウクライナに伝えている。

バイデン氏はウクライナに対し、アメリカ供与の武器を使ってロシア国内の標的を攻撃する許可を与えたが、対象をウクライナ北東部ハルキウ州の周辺に限定している。ホワイトハウスは、射程の長い地対地ミサイル「ATACMS」を使い、ウクライナがロシア国内を攻撃することは認めないとしている。

(英語記事 Biden apologises for delay in Ukraine military aid

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