不調の札幌を降格圏から救い出せそうなOB選手3選【J1リーグ2024】

奈良竜樹(左)アンデルソン・ロペス(中)前寛之(右)写真:Getty Images

2024明治安田J1リーグは一部のクラブを除き第17節までの日程が終了。今季がJ1初挑戦となる町田ゼルビアが快進撃を続け首位に立ち、鹿島アントラーズやガンバ大阪といったオリジナル10の名門クラブがそれを追う序盤戦となっている。熾烈な争いを繰り広げる上位クラブとは裏腹に、開幕からなかなか調子が上がらず苦しむクラブも複数出ている。

北海道コンサドーレ札幌は、Jリーグきっての名将ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任してから7年目のシーズンを迎えた。就任初年度の2018シーズンはリーグ4位と躍進したが、以降YBCルヴァンカップ(ルヴァン杯)の準優勝こそあるもののリーグ戦では2桁順位が続いている。

今季開幕前にはDF田中駿汰やFW小柏剛といった主力選手がJ1の他クラブへ移籍。そこで札幌は、かつてのエースFW鈴木武蔵や昨季ルーキーながら横浜FCで活躍を見せたMF近藤友喜など即戦力を獲得したが、順位は現在最下位と苦しいシーズンを送っている。

そんなチーム状況なだけに、過去に在籍し今なおJリーグで活躍し続けている選手の帰還を望むファンやサポーターが多くても不思議はない。ここでは、現在J1クラブで活躍する選手のなかから、札幌への帰還が叶えばチームを救えるであろう3名を紹介していく。なお、この冬チームを去ったばかりの選手は対象外とした。


奈良竜樹 写真:Getty Images

奈良竜樹(アビスパ福岡)

直近2シーズンは失点数の多さに苦しみ、今季もここまでリーグ最多の失点数となっている札幌にとって、現在アビスパ福岡の守備陣を支えるDF奈良竜樹は帰ってきてほしい選手の1人だろう。2009年から札幌のU-18に所属していた奈良は、2012年にトップチームへと昇格。2015年にFC東京へ期限付き移籍するまで多くの出場機会を掴み守備の要として活躍した。その後、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズと渡り歩き今季は福岡で4シーズン目を迎えている。

昨季はルヴァン杯優勝にも貢献し、クラブに初タイトルをもたらす原動力にもなっていた。対人や空中戦に強く、身体を張ってゴールを阻止する姿勢でチームを牽引。屈強なセンターバックが揃う福岡においても際立つ守備能力は、多くのクラブにとって脅威となっている。

札幌はこの冬、センターバックの新戦力としてガンバ大阪からDF髙尾瑠を、J2いわきFCからDF家泉怜依をそれぞれ獲得。流出した戦力の補填だけでなく、より強固な守備陣を形成するために必要な人材確保に動いたが、残念ながらここまでは昨季同様失点数に苦しんだままシーズンの半分を終えようとしている。年齢的にこれから楽しみな選手が多い札幌の守備陣。しかし、現状を考慮すれば経験豊富なベテランで、センターバックとして高い能力を誇るOB選手の奈良を求める声が聞こえてきても不思議はない。

アンデルソン・ロペス 写真:Getty Images

アンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)

今季ここまで札幌における不振の一因となっているのが得点力不足。昨年はリーグで3番目に多い得点数を誇っていたこともあり、失点数が多いながらも中位に留まれてた。しかし、今季のゴール数はここまでリーグワースト2位の16ゴール。失点は変わらず多いことから得失点差もリーグで最も悪い数字となっている。

この状況下で恋しい存在と言えば、横浜F・マリノスの攻撃の要であるFWアンデルソン・ロペスではないだろうか。2019年に札幌へ加入すると、2年連続で9ゴールをマークし攻撃を牽引。2021年には14試合で12ゴールと驚異的な得点力で札幌を支えていた。その後、中国のクラブに引き抜かれたが2022年に横浜FMでJリーグ復帰を果たした。

その得点力は今も健在で、昨シーズンはFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)と並んで得点王にも輝いた。今季も14試合出場で10ゴールと早くも2桁ゴールに到達しており、2年連続の得点王に向け順調にゴールを重ねている。今は横浜FMのエースとして活躍を続けるロペス。チームとして深刻な得点力低下を救えるOB選手の1人として、帰還を望むファンやサポーターも多いのではないだろうか。


前寛之 写真:Getty Images

前寛之(アビスパ福岡)

昨季のルヴァン杯決勝で先制点を挙げ、アビスパ福岡にクラブ史上初のタイトルをもたらす原動力となったMF前寛之。もともと札幌の下部組織出身で2014年にトップチームへ昇格し、水戸ホーリーホックを経て今季は福岡で5シーズン目を迎えている。

福岡では加入初年度となった2020シーズンから多くの出場機会を掴み、今季も変わらずボール奪取や冷静なパス捌きで中盤を支えている。さらに、ミドルシュートやチャンスと見るやゴール前まで詰めて得点を狙うなど攻撃に厚みを持たせることも可能。失点数に悩み、得点力不足に苦しむ今の札幌にとってチームに残ってくれていればどれほど頼れる存在になっていたかは言うまでもないだろう。

また、今季第16節のアルビレックス新潟戦では距離のあるフリーキックを直接ゴールへ叩き込む活躍で勝利に貢献。期限付きとは言えDF福森晃斗が不在の札幌にとって、セットプレーのキッカーとしても前の能力は魅力的に映る。札幌の中盤には、MF荒野拓馬やMF小林祐希といった攻守両面で活躍できる選手が今でも揃っている。しかし、さらなる安定感を求めて下部組織出身OBである前に帰ってきてほしいと願う声も多くありそうだ。

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