「白い揺り籠」新たな命育む 真庭でモリアオガエル産卵期

重なり合って産卵に臨むモリアオガエル=8日午前1時49分、真庭市蒜山下和

 真庭市蒜山地域でモリアオガエルが産卵期を迎えている。1匹の雌に一回り小さな雄たちが重なり合い、木の枝や草の上に泡状の卵塊を形成する独特の生態。新しい命が高原の緑に映える“白い揺り籠”の中で、ふ化の時を待つ。

 岡山県版レッドデータブックで絶滅の危険が増大している「絶滅危惧II類」に指定される希少種で、県内では主に中北部の山地で見られる。300~800個の卵が入ったソフトボール大の卵塊を水際に産み付け、卵は1週間ほどかけてふ化しオタマジャクシとなって水に流れ落ちる。

 津黒いきものふれあいの里(同市蒜山下和)では例年並みの5月中旬から産卵が始まった。深夜に「コロコロ」「コロロ」とくぐもった鳴き声を響かせ、粘液を脚で泡立たせながら卵塊を作り上げている。「大切な命の育み。距離を保って見守ってほしい」と雪江祥貴館長(39)。

 ピークは今月中旬ごろまで続く見込み。観察などの問い合わせは同ふれあいの里(0867―67―7011)。

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