ケガで予選を欠場したスロベニアの司令塔と大砲の告白「つらい時間だった」。今夜、日本と対戦

バレーボールのネーションズリーグ2024男子の予選ラウンド第2週福岡大会は5日目を迎え、日本はスロベニアと対戦する。

豪快かつ鋭いスパイクが光るオポジットのシュテルン(コート奥①)【写真:Volleyball World】

「こうしてチームを手助けできることがうれしい」とオポジットのシュテルン

現在、開幕から無傷の6連勝中で悲願のオリンピック初出場へと突き進むスロベニア男子。昨年のパリ五輪予選/ワールドカップバレーでは日本と、“この試合で勝ったほうが出場権獲得”という直接対決を演じ、そこでは敗れる結果に終わった。それだけに今回のネーションズリーグへは並々ならぬ思いで臨んでいる。

チームにとって追い風なのは、ベストメンバーが組めているということ。実は昨年のスロベニアは、オポジットのトンチェク・シュテルンが治療のためシーズンを通して欠場、またセッターのグレゴル・ロプレトがパリ五輪予選直前のヨーロッパ選手権の終盤で負傷離脱する事態に見舞われていた。その2人が戦線に復帰した今は、理想型で試合を戦えているのである。

イタリア・セリエAでも得点ランキング上位に名を連ねた実績を持つシュテルンは豪快かつ鋭いスパイクが持ち味。代表でもポイントゲッターを担い、6月7日のブラジル戦では両チーム通して最多29得点の活躍で強敵撃破の立役者となった。そのシュテルンは1年前をこのように振り返る。

「残念なことに代表でプレーすることはできませんでした。ただ、常にみんなとは連絡を取り合っていましたし、すべての試合を見ていました。コートでプレーしてチームを救うことができず、外から見ているのはとても、とてもつらい時間でした。なので、今こうして戻ってきてチームを手助けできることがほんとうにうれしいです」

その思いはセッターのロプレトも同じ。代表では司令塔を務め、クラブではセリエAのペルージャに在籍し、そこではリザーブながら役目をまっとうするなどセッターとしての実力は確かなものだ。負傷のため欠場したパリ五輪予選で、代わりに起用されたベテランセッターのデヤン・ビンシッチには「幸運を祈る」とエールを送った。

「オリンピックの予選というとても重要な大会に出られなかったことは、いつ思い返しても、ほんとうに苦いものです。悲しい思いでしたね。ですが、まだチャンスは残されています。そこに向けて全員が高いモチベーションでいますし、私も出場権獲得のために精いっぱいチームを救いたいと考えています」

気合いを全面に押し出してチームを操るロプレト(中央16番)【写真:Volleyball World】

「日本戦が待ち遠しい」とセッターのロプレト

振り返ればパリ五輪予選ではシュテルン不在の穴を、本来はアウトサイドヒッターのクレメン・チェブリかロク・モジッチをコンバートするかたちで埋めていた。それでもチーム全体の火力は相当なものだったが。

一方で、今年の代表シーズンを迎えるにあたって、今度はモジッチがクラブシーズンを終えて手術をしたため帯同できず。2021/22シーズンのセリエA得点王でもあるモジッチ不在は痛手には違いないが、それでもキャプテンのティネ・ウルナウトは総力戦を強調した。

「毎年、すべての選手が私たちにとっては大切な存在です。大事なのは、あらゆる選手がチームを支える力を持っており、そうしてどんなオーダーでも戦えるということ。今回のネーションズリーグのように、です。日本だってそうでしょう? 予選ラウンド第1週は石川祐希や髙橋藍がいなかった。ブラジルやイタリア、フランスも選手を入れ替えながら戦っています。

みんなが万全な状態で戦えることを願っていますし、そうであれば、タフな試合になったときに誰もがコートに立って戦えますから」

一丸となって臨む日本戦に向けて、ロプレトは声を弾ませた。

「まず、こんなにも素晴らしいファンがここにはいますから。いつも日本でプレーするときは、ホームチームのように後押ししてもらえています。

日本戦が楽しみですよ。とても強いですし、倒すのは困難です。ディフェンスがいいので、こちらとしては手広く、できるかぎり多くのオプションを繰り出す必要があります。とにかくいいサーブを打って、ブロックを避けて…、言うのは難しいですね(笑) ですが、チャンスはたくさんあるでしょう。そのために準備を進めていますし、対戦が待ち遠しいです」

日本は6月7日のポーランド戦ではオリンピックメンバーの選考も兼ねて、これまで出場機会の少なかった面々を試した。同時に、スロベニア戦はこの福岡大会において最大のターゲットとしている。

その相手はオリンピック出場を懸けて闘志全開。昨年とはまた違う、白熱した一戦となることは必至だ。

初のオリンピック出場へ。スロベニアの戦いは続く【写真:Volleyball World】

(取材・文/坂口功将)

The post first appeared on .

© 日本文化出版株式会社