リサイクルがマストな家電とは? 知らないと困る“家電の正しい処分法”

家電を手放す時に知っておきたい正しいリサイクル&処分法を学ぼう。

Q1. 家電を処分したい時、どうすればいい?

A. 洗濯機、冷蔵庫、エアコン、テレビはリサイクルがマスト。
日本では、一般家庭や事務所で廃棄された洗濯機・衣類乾燥機、冷蔵庫・冷凍庫、エアコン、テレビから有用な部品や材料をリサイクルし、廃棄物の減量や資源の有効利用を推進する「家電リサイクル法」が定められている。

「この4品目はリサイクルすることが義務付けられています。買い替えをする場合は、家電量販店など新しい製品を購入するお店に引き取りをお願いするのが一番。また、処分だけの場合も、購入したお店に引き取りを依頼すると、有料ですが解体して持っていってくれるので、手間がかからず便利です。自分で粗大ゴミ置き場まで持っていくのは、かなり大変ですからね。回収時に必要な家電リサイクル券も用意してくれます」」(家電ライター・藤山哲人さん)

購入したお店に依頼できない場合は、郵便局で家電リサイクル券を購入し、自治体の案内する方法に従って処分をする。市区町村ごとに方法が異なるため、ホームページ等でチェックしよう。料金に関しては、リサイクル料はメーカーごとに、収集・運搬料金は小売り業者ごとに違うため一概には言えないが、下の料金が目安に。

「家電の部品がすべて揃っていなくても基盤さえあればリサイクルしてくれます。掃除などキレイにする必要もありません」

【リサイクル料金】
下記を目安にしてみよう!
エアコン…¥990~
テレビ…液晶・有機EL・プラズマ式15V型以下¥1,870~、16V型以上¥2,970~
冷蔵庫・冷凍庫…170L以下¥3,740~、171L以上¥4,730~
洗濯機・衣類乾燥機…¥2,530~
※一般財団法人家電製品協会HPより。別途収集・運搬料金が必要。

Q2. それ以外の家電の処分は、どうすればいい?

A. 不燃ゴミや粗大ゴミなどで出そう。
4品目以外の家電は自治体ごとに処分法が異なるので注意が必要。

「市区町村によってさまざまなので、まずはホームページを見るのが一番です。一般的には、ガスコンロや電子レンジ、照明器具、掃除機など1辺が30cm以上ある家電は粗大ゴミ、それ以下であれば不燃ゴミや金属ゴミなどに分類されるケースが多いですが、あくまでも一例なので、きちんと確認して正しく捨てましょう」

また、パソコンはゴミとして処分することができず、メーカーによる自主回収またはリサイクルが義務付けられている。

「実は購入時にリサイクル料を払っているので、取扱説明書などに書いてある連絡先に電話すれば、そのまま引き取ってもらえます。また、パソコンやプリンターには金やレアメタルなどが入っていて、それを手に入れたい買取業者が存在します。そこに申し込みをし、ダンボールに詰めて送れば、無料で回収してくれます」

Q3. 電池の正しい捨て方は?

A. 種類によってさまざま。リチウムイオン電池に注意!
どんな電池にもいえるのが、絶対に裸のままで捨ててはいけないということ。

「電極がほかの金属に当たると発熱や発火、爆発の可能性があります。セロテープやガムテープ(紙製は避ける)、ビニールテープなどを、プラス極とマイナス極を完全に覆うようにして貼り、絶縁処理を行っておきましょう。ボタン電池やコイン型電池も、同じくテープで全体をくるんで絶縁してください。捨て方は市区町村によって異なるので、ホームページ等を調べて適切な処分を」

また、今大きな問題となっているのがリチウムイオン電池だ。

「掃除機やパソコン、モバイルバッテリー、ハンディファンなどによく使われていますが、水と衝撃に弱く、爆発するケースが。自治体ごとに捨てる場所が決まっており、また、スーパーや家電量販店にも回収ボックスが用意されているので必ずそこに捨てましょう」

Q4. 回収業者に依頼するのもアリ?

A. ホームページでサービスをチェックしてから活用を。
大型家電の処分は回収業者に依頼をすると、運び出しなど負担が軽減。ただ、さまざまな業者がいるので、安易に決めないことが嫌な思いをしないためのカギとなる。

「家電には金やレアメタルなどお金に換えられる金属が入っているものが多いので、家具の回収に比べると高額請求されるトラブルは少ないといえます。とはいえ、無料だと謳いながら高額な料金を請求してくるような悪徳業者もいるので、とにかくホームページに書かれている内容や料金体系などをしっかりとチェックして、サービスを見極めることが大事。回収に来てもらう前に一度、電話やメールで連絡して内容を伝え、料金を確認しておくのもおすすめです」

また、廃棄物の収集や処分を、自治体の許可を得ずに行っているような業者にも注意が必要。自分が出した家電が、不法投棄や不適正処理されかねない。

Q5. パソコンなど大事なデータが入った家電の処分は?

A. ハンマーなどを使って確実に壊そう。
パソコンを捨てる時、データを見られたくない人も多いのでは。

「残念ながらハードディスクを初期化しておけば大丈夫…とは言えません。ちょっと技術力のある人の手にかかれば、簡単に復元できます。リサイクル業者や買取業者に回収を依頼した時も、初期化をしたから安全、ではありません」

では、確実に消去する方法とは。

「ハードディスクを取り出して、家にあるハンマーで穴が開くまで叩き壊す、五寸釘やドリルで穴を開けるなど、物理的に破壊を。データの読み書きをするHDDヘッド部分や基盤、データが記録されているプラッターなどまんべんなく壊しましょう。ちなみに、USBメモリーも同様です」

破壊すると破片が飛び散るので、何枚か重ねたビニール袋や、不燃ゴミの指定袋に入れて行うといい。

Q6. フリマサイトで不要な家電を売っても大丈夫?

A. 専門家並みの知識が必要。あまりおすすめはできない。
家電のプロやマニア並みの知識を持ち合わせていない場合、トラブルが起こりやすい。

「服や家具のように劣化する部分が見えないところが、家電を売ることが難しい理由の一つです。例えば、スティック掃除機や電動自転車などは、いざ購入してみたらバッテリーが劣化していて、すぐに使えなくなったというケースが少なくありません。ちゃんとした知識がないと悪気なくダメな家電を売ってしまい、問題になるわけです。買い手からの質問にも上手く答えられないですしね」

買う場合も、フリマサイトはおすすめできないという。

「自分で良し悪しを判断する必要があるところより、家電量販店などバイヤーの目が必ず通っている、ある程度品質が保証されているリユース品を選ぶほうが安心です」

家電ライター・藤山哲人さん あらゆる家電を使い込んで比較して、性能を数値やグラフにする技術系ライター。雑誌やWeb媒体での執筆のほか、テレビなどのメディアに出演することも多数。別名「家電おじさん」。

※『anan』2024年6月12日号より。イラスト・室木おすし 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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