ソフトバンク小久保監督が恐れるわずかな「隙」貯金最多21、最大7ゲーム差も慢心なし 勝利後に放った強烈なメッセージ

5回無死、投ゴロが一塁失策となるも飛び出して一、二塁間に挟殺される周東(撮影・冨永豊)

◆日本生命セ・パ交流戦 DeNA3―5ソフトバンク(8日、横浜)

ソフトバンクの小久保裕紀監督(52)が、厳しい口調で好調のチームを引き締めた。DeNAに競り勝ち、貯金は今季最多の21。2位との差も最大の7ゲーム差に開き、独走モードに入ってきたが、笑顔は一切なかった。

試合後、通常の囲み取材に応じた小久保監督は、語気を強めてまくし立てた。「今日は正直(8回の中村)晃のミス(失策)でもなく、松本(裕)の3ランでもなく、あり得ないプレーを起こしている隙だと思う。だから、よく負けなかったなと思います。これだけチーム状態(がいい)というか、貯金が増えてくる時に一番気をつけないといけないのは隙なので。あのノーアウトランナーなしからの隙。(7回に)嶺井がホームランを打ったけど、そんなことしていたら簡単には勝たせませんよというゲームやったんじゃないですかね。以上です」

普段は敗戦時でも冷静にゲームを振り返るが、この日は自ら打ち切った。まさに「勝ってかぶとの緒を締めよ」。勝利は収めたが、あるプレーを見逃すことはできなかった。

名指しこそ避けたが、小久保監督が指摘した「隙」は、5回無死、周東佑京の凡ミスだったとみられる。投ゴロでタイミング的にはアウトだったが、一塁手が送球を捕球ミス。しかし、アウトと勘違いしたのか、一塁を駆け抜けた周東はフェアグラウンドに入り、三塁ベンチに戻ろうとしていた。ようやくセーフだったことに気づいたが、一、二塁間の挟殺プレーで刺された。

3万3千人超の満員の観衆で埋まった横浜スタジアム。周東は「(審判のコールは)聞こえなかったです」と説明した。もちろんセルフジャッジは禁物。周東の俊足があり、必死に駆け抜けたからこそ起こった捕球ミスだったかもしれないが、その後のことを指揮官は「隙」と厳しく指摘した。ソフトバンクには2年続けて一つの星勘定で順位を落とした事実がある。貯金を着実に積み重ねる中、小久保監督は一切の「隙」を見せるなというメッセージをナインに送ったのだろう。(小畑大悟)

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