警報機も遮断機もない第4種踏切、神奈川に25カ所 5カ所は存続方針、鉄道事業者は頭悩ませ

4月に9歳の女児が亡くなる事故が起きた第4種踏切=5月、群馬県高崎市

 警報機も遮断機もなく、事故率の高い「第4種踏切」が5月末時点で、神奈川県内に25カ所あることが神奈川新聞社の調査で分かった。うち5カ所について、鉄道事業者は存続の方針を示している。相次ぐ事故を受け、国土交通省は早期の廃止などを促しているが、鉄道事業者は「地元住民から強い反対を受けており、調整に相当の時間が必要」と頭を悩ませている。
 
 踏切の種類は第1種から第4種まである。同省によると、昨年3月末時点で全国に3万2442カ所ある踏切のうち、警報機と遮断機を備えた第1種は2万9442カ所(91%)、警報機のみの第3種は592カ所(2%)、第4種は2408カ所(7%)。保安係が決められた時間だけ遮断機を操作する第2種は現在、設けられていない。

 県内を運行する鉄道事業者を対象に神奈川新聞社が調査した結果、第4種は県内に25カ所あった。今後の対応を尋ねたところ、営業線の需要がなくなり、使用が停止された神奈川臨海鉄道の錦町第2踏切(横浜市中区)を除く24カ所のうち、3カ所が廃止、1カ所が統廃合、または第1種への改良を検討しており、5カ所は存続の方針だった。

 小田急箱根が管理する15カ所について、同社は存続や廃止に関する周辺住民との協議を継続するとした。

 保安設備のない第4種は、第1種に比べて事故率が高いのが課題だ。内閣府が公表した2023年版交通安全白書によると、踏切100カ所当たりの事故件数は、第1種が0.56件だったのに対し、第4種は0.73件だった。

 今年4月には、群馬県高崎市にある第4種踏切で、9歳の女児が電車にはねられ、亡くなった。市は市内21カ所の第4種を全て廃止する方針を決定。県も第4種を廃止、または第1種に改良する方針を示した。 

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