『花咲舞が黙ってない』舞と昇仙峡の思いが合致 ラスボスの風格漂わせる大和田伸也が登場

6月15日にドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)が最終回を迎える。セミファイナルとなった第9話では、舞(今田美桜)と相馬(山本耕史)の臨店班コンビの解散、さらに昇仙峡(菊地凛子)が東京第一銀行の深い闇に接触する、クライマックスへと向かっていく盛り上がりを見せた。

第9話のタイトルは「さよなら臨店班」。相馬が富士見ノ丘支店への異動を命じられてしまうのだ。横浜から地下鉄で20分の閑静な住宅地にある富士見ノ丘支店への異動は、実質の左遷。それは舞と相馬が虎ノ門支店で得た、東東デンキの粉飾決算に関する報告書が関係していた。虎ノ門支店は粉飾の事実を知りながら隠蔽していた、ということを紀本(要潤)はさらに隠蔽。以前より紀本から目をつけられていた臨店班は銀行の闇に触れたことで引き離されてしまうこととなった。

粉飾を告発していた早瀬(朝倉あき)も銀行を退職する形となり、責任を感じた舞は部屋に閉じこもって出てこない。いつもの通り「花さき」に飲みに来た相馬が、舞に壁越しに語りかける。「私は正しさを押し付けていたんです。独りよがりでした」という舞に、相馬は「こんなことで、花咲舞が黙るのか?」「花咲は自分が正しいと思うことをためらわずにやれ」と感謝を告げながら強く背中を押す。大粒の涙を流しながら頷く舞は、さらに続く相馬の筋トレ話に「お言葉を返すようですが」といつもの口喧嘩を挟みながら、「私はこれからも黙りません」と誓い、深く頭を下げる。喧嘩するほど仲がいいとは2人のこと。臨店班は廃止を迎えることになりそうだが、「花さき」という帰る場所がある限り、舞と相馬の口喧嘩は続くだろう。

そして、舞たちが近づいた粉飾の隠蔽は、昇仙峡の恋人で命を落とした川野(平原テツ)が突き止めていた銀行を変えるための切り札と繋がっていた。川野の遺した手帳には、「51」「石垣」の文字。それは選ばれた人間しか触れることのできない東京第一銀行内の極秘事項「エリア51」、さらに財務大臣の石垣信之介(大和田伸也)を指していた。聞けば傍観者ではいられなくなる、東京第一銀行の闇。隠蔽の責任を吉原(平山祐介)に取ってもらうという冷酷な手段を選んだことで昇仙峡は紀本からある者を紹介されるが、それが石垣だった。まるでラスボスの風格を漂わせる石垣。コイントスを当てられなかった昇仙峡とは気が合わないということなのか、退出を命じられる。「若いね」と吐き捨てた石垣に、鋭い眼光を向ける昇仙峡。川野の形見である腕時計をはめ、向かったのは舞のいる臨店班だった。

ここで舞と昇仙峡の思いが合致する。東京第一銀行の闇を暴き、腐り切った銀行を変えたい。それは昇仙峡にとって川野の遺志を受け継ぐことでもある。半沢直樹(劇団ひとり)も再登場する最終回に舞がお言葉を返すのは、もちろん紀本。相馬健、昇仙峡玲子、そして花咲舞が黙ってない。

(文=渡辺彰浩)

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